column
初めてのバンライフ
いつか7月の北海道の山々を歩きたいと考えていた私は、ビデオグラファーでハイカーのエリナ・オズボーンと出会い、その旅を実行する絶好のチャンスだと思い、彼女を誘った。
大雪山、知床、日高、利尻――名前をあげるだけで心が高鳴る場所ばかりだけれど、お互い忙しく、打ち合わせもろくにできないまま、行き先も決めぬまま羽田空港で合流し、北海道へ向かった。
とりあえず私たちには〈Moving Inn〉のキャンパーバンがあるので寝る場所は心配なし。きっとなんとかなる…! 山は天気次第、天気の良さそうな方へ行こう―― そんなざっくりとした結論で、2人の初めての旅が始まった。

天気が良さそうな道東方面を目指し、北へ。初日は釧路近くの適当な場所でクルマを停めて寝ることに。ベッドのほかにポップアップテントも使い、エリナと交代で寝ようということになった。
仕事を途中でこなすにも、日記を書くにも、休むにも、すべてが心地いい。予想していた通りストレスはなく、むしろ自分にぴったり合っている気がした。
知床や大雪山方面の天候が思わしくなくどうしようかと話していたところ、屈斜路の天気が良いと分かった。屈斜路にはお世話になっている知人が何人もいるので、早速連絡をしてみると、ラッキーなことにカヌーガイドの國分知貴さんが屈斜路湖と釧路川を案内してくれることになった。

國分知貴(tomoki kokubun):
北海道屈斜路湖畔を拠点とするアウトドアガイド、カヌーガイド、写真家。釧路川のカヌーガイドとして知られており、特に釧路川を源流から太平洋まで約100km下るカヌートリップを企画・実行したことで注目されている。
IG:@saru.tomokikokubun
釧路川とカヌー
バンに荷物を積み、屈斜路へ向かう。行き先を決めて、そのまま動き出せる―― これもバン旅の醍醐味。なんて自由なんだろう。國分さんのことは、以前釧路川を源流から海まで100km下った記事を読んで以来、ずっと気になっていた。そして昨年の秋、東川町の行きつけの店で偶然会い、その二ヶ月後には雪山と冬のカヌー取材でお世話になった。「また会える気がする」と感じていたら、やっぱり本当にすぐ会えた。



冬、屈斜路では珍しいほどの大雪で真っ白だった釧路川は、いま緑一面。同じ場所とは思えない。
あのとき「冬はいいなぁ」と思ったのに、今こうして緑の木々に囲まれると「やっぱり夏もいいなぁ」と思う。自然はいつでも違う表情を見せてくれて、何度だって心を動かしてくれる。

冬はドライスーツを着ていたのに、今は水に飛び込めるほど暖かい。

途中の休憩も心地よくて、つい長居してしまう。 カラコルムを旅してきた國分さんの話もまだまだ聞きたかったけど、またここに戻ってこようと思った。

鹿に何度も出会う。北海道は自然との距離が本当に近い。
新しい家族との出会い

そして、前回訪れたときにはまだ生まれていなかった國分さんの新しい家族にも会うことができた。家族写真を撮影しながら、こちらまで幸せを分けてもらう。

カヌーを終え、次はどこへ行こうかと天気予報を眺めていると、今度はいつもお仕事でお世話になっている編集者の小林百合子さんから連絡が入った。
#02に続く
根本絵梨子 (ねもとえりこ)
Photographer
2010-2011年 渡豪
2012年 都内スタジオ勤務
2014年 都内にてアシスタント
2016年 フリーランスで活動開始
HP:erikonemoto.com
IG:@neeemooo
Elina Osborne(エリナ・オズボーン)
映像作家。日本にルーツを持つ日系ニュージーランド人。世界中のロングトレイルを歩き、その様子を撮影したドキュメンタリー映像をYouTubeで公開し、日本を初め世界中のロングトレイルハイカーたちから絶大な信頼を得ている。
HP:elinaosborne.com
IG:@elinasborne
Photo &Text by Eriko Nemoto Produce by Ryo Muramatsu Cooperation by Moving Inn