column
旅を振り返ってみると、甘い楽しいことの裏には苦いこともある。
日本の海には独特のローカリズムがあり一部のポイントでは撮影が出来なかったり、
海に入ることも許されないこともある。
もちろん一部の話だけど、ここのエリアも例外ではなくその難しさに直面した旅でもあった。
海に入っただけで怒られちゃうのは悲しい。でも、ここの海を守っていこうというローカリズムの大切さを考えてルールを守り、ローカルの人達をリスペクトすることはもちろん大事だと思う。だから日本にはこういうルールがあるんだよ、ときちんと伝えるのもひとつなんじゃないのかな? とも思ったりする。
しかし、時期も環境的に厳しい時期だからなのか? この旅の中でローカルサーファーの人たちにはあまり会えなかった。
けれど波をチェックしている時に漁師のおじさんたちや地元の人に話しかけられ仲良くなったりして応援してくれたりもした。
ここだけのことに限らず、全ては陰陽で成り立っているようなこの世界。
いろんな場所へ旅をしていると毎回人々の優しさに救われる。
だから私自身はなるべく良いカルマを作れるようになりたいと心がけている。
誰にも頼れず、地図と気圧配置だけを頼りにクルマを走らせて波を探し求め、そこでの土地に住む人に配慮しながらも波を求める。
毎晩凍ってしまうかと思う寒さとの戦い・汗握る場面、何時間もクルマを走らせ波探しを第一優先に考え、人知れず割れる波を求めて行動する日々。
何が私たちを駆り立てるのかわからないけれど、そんな不安定な旅の中でバディ(友)の存在は心強くしてくれた。どこにいくのか。誰といくのか。
でも昔の人たちは今みたいに便利なツールが無い中でウェーブハントしていたと思うと、今回の私たちの旅はサーフィンの原点を少し感じる事が出来たんじゃない? なんて思ったらちょっと嬉しくなった。
大自然を前にしたら私たちは小さな存在なのだ。誰のものでもない大きなフィールドでいつも遊ばせてもらっている。
人は情熱に心が動かされる。と映画「ラ・ラ・ランド」の主人公が言っていた通り、
私はナツミとの旅の中で、彼女のサーフィンへの情熱に幾度も胸が熱くなった。
日本・アジア・そして世界に挑戦する彼女の姿を見ていると、なぜだか自然と気持ちが高まりこちらまでカメラマン魂とでも言うのだろうか? 心に火がついてくる。
それはそのまま私の表現方法にもつながっていく。
自分のしていることが、誰かの何かの役に立つ。そしてありがとうと言ってもらえる。「やるべきことがある」っていうのは、とても幸せなことでその事がどんどんモチベーションに繋がっていく。本当にクリエイター冥利に尽きると思った。
そして、私たちの旅の最後には思いがけないサプライズが待っていた。
「みて!桜がたくさん咲いてる!!」
いつも通りクルマを走らせている私たちの前にピンクの世界が飛び込んできた。
新年から春先までお互い忙しく駆け回っていて桜の時期を逃した私たち2人。
今年はお花見できなかったねなんて話していたけど
「でもさ、時間差で北海道で見れるのかな?どうかな?」と地元の人たちに聞くも
「北海道の桜はまだだよ〜」「ちょうど見れないかもね。」
なんて言われていたのに最終日に待っていたのは北の大地の満開直前の桜。
ね、ちゃんとお花見をすることができた。
私たちってやっぱりラッキー。
こうやってドライブ中に素敵な景色を見つけてはクルマを止め、2人でその場所を感じたり、撮影会したりできるのもクルマ旅ならではなのかな!
こんな時だからこそ静かに自分の周りを見回して感じてみる。
そしてまた広い世界に目を向けてみる。
やはりロードトリップは私たちにとって普段の旅では味わえないかけがえのない経験をさせてくれた。きっと人生の中で素敵な思い出に残るだろう。
ぜひ、みんなも少し時間がとれることがあったらぜひ仲間と大きな目的だけ決めて冒険気分であとは気の向くままのロードトリップに出かけてみてほしい。
そこには何が待っているのか。考えるだけでワクワクする。
Nachos
“Beautiful Adventure”を自らのテーマに掲げ、ボードとカメラを片手に世界を旅するフォトグラファー。海、旅、女性にフォーカスした、ストーリーのある写真を撮る。また、動画撮影・編集、アートディレクション、執筆までマルチに活動している。
IG:@nachos.san
photo&text: Nachos cooperation: Moving Inn