〈noi〉というブランド名そのままに、「野」に「生きる」2人がおすすめするドライブルート。季節の巡りを感じながら、芳しいボタニカルを摘んだり、ティーブレイクを楽しんだり、友人たちとピクニックしたり、富士北麓の野趣を感じられる。田中さんいわく「自然のなかでひと時を過ごすことで、人間中心の考え方がリセットされ、人間も自然のサイクルの一つと考えられるようになる」とか。〈noi〉らしい視点で選んだルートとお気に入りの施設をご紹介します。
なお、今回の取材は富士山麓に拠点を構える〈アミューズ〉がプロデュース・運営するレーベル、〈Under the Tree Club〉の協力のもとに実施された。〈Under the Tree Club〉では、さまざまなカルチャーを媒介に、都市と自然をシームレスにつなぐコンテンツを制作している。
富士山麓の自然を感じられる素朴な名所たち
01-A中の茶屋 周辺
フジザクラの群生も有名な歴史ある場所
富士山吉田口登山道の起点である北口本宮浅間神社の登山門から馬返しまでの中間地点に位置するのが中の茶屋。1707年に創業した茶屋があった場所で、長く茶やそばを提供していた。周辺には富士講の石碑が立ち並び、いかにも登山道の趣が漂う。2人が勧めるのは、この茶屋周辺の森だ。クルマでアクセスでき、すぐに森に入ってゆっくり過ごすのには最適のロケーションなのだ。
「散歩したり、お茶道具を持って行ってピクニックしたり、しょっちゅう出かけるポイントです。季節や時間帯によって見え方が変わるので、いつ出かけても飽きることがありません(田中)」
「4月下旬〜5月上旬にかけて、天然記念物のフジザクラが咲き誇り、びっくりするほどきれい。茶屋周辺は人出が少しありますが、一歩森に入ればフジザクラを独り占めできますよ(別府)」
- 住所
- 〒403-0005 山梨県富士吉田市上吉田 5601-1
01-B北口本宮冨士浅間神社
出典元:北口本宮冨士浅間神社
富士登山道の入り口
中の茶屋周辺の森に入る前に立ち寄ることが多いという北口本宮浅間神社。1900年の歴史を誇り、富士山の女神である木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)とその夫である彦火瓊瓊杵尊(ひこほのににぎのみこと)、木花開耶姫命の父神であり山の神さまの大山祗神を祀る。江戸時代、各地で爆発的な広がりを見せた富士講は、全国からふじ道を通って吉田口登山道から入山しようとしたが、富士講とゆかりの深い神社である。
「身も心も清められるような、厳かな空気が気持ちのいい神社です。晴れた日の午前中には、時々地面や木々から水蒸気が立ち上がって、そこに日差しが差し込むと美しい光芒線が見られます。そんな日はかなりラッキー。この神社が富士山の境内の荘厳な森を守り、その森がが周辺の水源を育み、守っているよう(別府)」
- 住所
- 〒403-0005 山梨県富士吉田市上吉田 5558
- IG
- @kitaguchi.hongu.official
- URL
- sengenjinja.jp/index.html
01-CFUUTO COFFEE AND BAKE SHOP
“フウト”を逆さに読むと“トウフ”。その理由とは?
富士吉田市内、西裏地区にあるコーヒーと焼き菓子の店。もとは70年続いた豆腐屋だったが、店主の息子が和菓子職人のスキルを生かしてカフェに転向。カウンターに親子が並ぶことも。
「コーヒーがおいしいのはもちろんですが、店内で一つひとつ手焼きしているどらやきが絶品!和菓子職人だった店主が当時、いちばん作っていたのがどら焼きだそうで、開店時からの看板メニューに(別府)」
「豆腐屋時代の常連さんでしょうか、年配の女性たちの溜まり場みたいになっています。一見、おしゃれなカフェですが、年代を問わず地元住民に愛されているムードがここならでは(田中)」
- 住所
- 〒403-0004 山梨県富士吉田市下吉田 3-12-3
- IG
- @fuuto_coffee.bakeshop
- 営業時間
- 11:00〜17:00
- 定休日
- 月・火曜日
01-D富士パインズパーク
諏訪の森自然公園、地元では別名“富士パインズパーク”
2人のお気に入りのピクニックスポットが、北口本宮浅間神社から徒歩5分でアクセスできるこちら。14ヘクタールという広大な敷地に、青々とした芝生がどこまでも続く公園で、ピクニックやボール遊びなど自由に過ごすことができる。
「江戸時代には幕府が管理する薬草園が近くにあったといわれている公園です。芝生が気持ちいいので、子連れの友人と遊ぶのに最適。ほどよく整備されているので、大自然は苦手とか、気軽に戸外の雰囲気を楽しみたいという人にお勧め(田中)」
春には八重桜と富士山の二重奏を楽しめる。
- 住所
- 〒403-0005 山梨県富士吉田市上吉田 5329-2
田中麻喜子 (たなか まきこ)
〈noi〉の香りの開発・ブレンド担当。高校生のとき、イタリア北部の街に留学したことをきっかけに、土地の風土に合った食文化や、それと人間の幸福度の関わりに興味をもつようになり、大学では料理レシピのプラットフォーム立ち上げに携わる。帰国後はフリーランスで食の商品開発などを行う。コロナ禍に東京と富士吉田の2拠点生活をスタート、2022年に完全移住を果たした。
別府大河 (べっぷ たいが)
大学時代から編集、コピーライティング、ブランディング事業などに携わる。飲食系の企画運営会社に入社し、さまざまな事業企画を担当した。先に移住を決めた田中さんの暮らしに触発され、2022年富士吉田市に移住。現在は〈noi〉の運営ほか、市の地域活性化プロジェクトなども手掛けている。
IG:@noi_aroma
Photo by Kenichi Muramatsu / Text by Ryoko Kuraishi / Edit by Mariko Ono / Cooperation: AMUSE ADVENTURE