
元・さば節工場だった建物をリノベーションし、環境系のワークショップの開催や、廃材の再流通など行う施設〈循環ワークス〉を営む山本広気さん。高校卒業後、1度は会社員として就職するも20歳を迎えた年に、海外放浪の旅へ出る。旅先で途上国の貧富の差や環境問題、異なる文化や価値観を目の当たりにし衝撃を受ける中、東日本大震災が起きた。一瞬にして崩れる自分たちの暮らしの脆さへの危機感から一念発起。電気工事士を取得後、電力を自給自足をおこなう〈山本電力(やまでん)〉を立ち上げるとともに、競売にでていた物件を契約。2021年5月に環境問題に寄り添い「ヒト、コト、モノ」の循環を生み出すコミュニティスペース〈循環ワークス〉をスタートさせた。施設内では環境に関するワークショップができるコミュニティスペースやオーガニック料理を提供するキッチン、本来捨てられるはずだった古材、古物などの販売を行っている。更に〈やまでん〉の技術も活用し、電力は、廃棄されていた太陽光パネルとバッテリーを使ってまかなっている。この場所で山本さんが目指すのは、持続可能な社会。モノだけじゃなく、人の意識自体が変化しないと、環境は変わらないと感じているからこそ、人が出会い、つながり、一緒に環境を考えながら未来へ取り組んでいきたいという。
人とモノを循環させて、より良い地球を作っていきたい、という考えはクルマに対しても同様だ。頑丈なクルマを長く乗ることこそが一番のエコだと考え選んだクルマは「Mercedes-Benz 208D」。ディーゼル車であったことも購入の大きな決め手。なんと彼の愛車は、近くのうどん屋さんの天ぷら油の廃油で動く『天ぷらカー』なのだそう。廃油を濾過しただけで、燃料として用いる方法『SVO』という仕様に改造されている。
“古いクルマ、且つ天ぷら油の廃油カーに改造しているので故障はつきものですが、それ自体も楽しみながら乗っていますね。自分で車検も通していますし、修理もしています。手間暇かけて、面倒を見ているからこそ、もはや家族の一員のような存在です”と山本さん。愛車の在り方とエネルギーを見直すことこそ、彼が目指す循環する社会への近道なのかもしれない。
#197山本広気
age43
出身地
静岡県 沼津市
現所在地
静岡県 函南町
職業/肩書き
自由業
SNS/HP
IG:@junkanworks
車種
メルセデスベンツ 208D 1991年式
カスタマイズ有無
廃天ぷら油でも走る様に改造しています。
月間走行距離
約100km
クルマ遍歴
ホンダバモス (2009年〜2015年)→
Mercedes-Benz 208D (2015年~)→
クルマに求める要素(%)
普段、どのような用途でクルマを使っていますか?
荷物をたくさん運ぶ時や、長距離の移動の時など。
このクルマの好きなところ
スピードが出ず、上り坂は30km位しか出ませんが、
燃費が良く頑丈な所
ひとつ改善できるとしたら
エアコンが全く効かない所
憧れのクルマは
特にないです。
あなたにとってクルマとは
生活の役に立つもの。
photo by Misaki Miyazaki / text by Kota Hara