column

少しおさらいしますと、トラベルハウスの軽トラキャンパーを、僕らは特別にほぼスケルトンの状態で購入できたことがこの連載スタートのきっかけでした。本来であればセミオーダースタイルで、ラインナップされた型やカラーから標準装備を選択、さらにオプション追加などをして、内装・外装はほとんど出来上がった状態で軽トラキャンパーを受け取るわけです。
軽トラの最大積載重量はどこまでいっても350kg
僕らが選んだ道は試しに“オリジナルの軽トラキャンパーを作ってみる”という選択でした。その軌跡はこれまでの連載を読んでもらえたらと思いますが、最後の最後でぶち当たった壁は、荷台にのせるキャンパー全体の重量問題でした。軽トラの最大積載重量は350kg。トラベルハウスから納品されたスケルトンのフレーム時点で、約200kgだったため、内装にかけられるのは、約150kgしかないわけです。その限られた中で、何をどう選択するのか。
noru studioの設計、デザインも担当してくれているインテリアデザイナー〈gavel〉の森貴士さんとも、幾度となく、重量についてのやり取りが続きましたが、答えは簡単。デザイン要素を削ぎ落とし、スッキリさせていくほかないのです。
この画像はある初期〜中期にかけての内装プランですが、重量的に現実的ではないプランでした。その後、最終の内装プランとして出てきた2案をお見せします。この2つのプランを足して2で割ることで内装は落ち着くことになります。
限られた重量の中で選んだ内装の要素としては・・・
・無垢材の木製ベンチ
・無垢材の床
・スチールの折りたたみ机
・黒皮鉄の壁
・ライティングレールとLEDフィラメント電球
というようなラインナップに。重量に制約がある中で、あえての無垢の木材や黒皮鉄など軽量でない素材を選んだのは、ビジュアル的な理由もさることながら、使い込んでいくことで味わいが増す素材にしたかったことが大きな要因になります。
紆余曲折を経て、ようやく内装のプランが落ち着いたと思いきや、この記事の撮影中に「やっぱり壁は白じゃないかも!」とストップ信号が。さらに「机や壁は一部加工なしのステンレスのままの方がいいかも」と、実物を見ることで閃く場面もありました。(せっかく、壁を白で綺麗に仕上げてくれた職人さんごめんなさい)。
スタッフがiPhoneで撮影してくれた最終の内装の様子
「外装は何色にする?」何度も何度も話し合った末に
そしていよいよ最後の外装です。。ベースとなる軽トラックのカラーは白で、荷台に乗るキャンパーも工業製品のプロトタイプのような真っ白い無味無臭。そのため「何色に塗ろうか」と、この話題は初期の初期から幾度なく協議してきましたが、ある時ふと気づいてしまうのです。
都内で見かける軽トラのキャンパーは、ほとんどがキッチンカーですが、みんな色とりどりに塗装されているんです。
「noru carも塗装しちゃうとカッコ良くはなりそうだけど、どこぞのキッチンカーと横並びになって、もはや埋もれてしまうのではないだろうか」
そんな不安にかられたことから「もうさこのまま外装は白いままでいこうよ!」という結論に至ります。ただし、ベースの車両の白と荷台のキャンパーの白が、同じ白でありながら微妙にトーンが違うため、そこの色味は合わせましょうか、となりました。さらにnoruのロゴをキャンパーにラッピングすることに。
試しにnoruのロゴサイズや位置を検証するために作ったラフデザイン。最終的にどう仕上がったかはお楽しみに。
現在、noru carは内装と外装が仕上がり、備品などを最終調達しているフェーズです。そんな中で、ジワジワと“このプロトタイプっぽい、潔い佇まい”に好感が持てるようになっています。染まっていない素の感じがカッコ良い! と感じ始めている編集部員たちなのです。
今年は完成したnoru carで、どこかの街に長期滞在してコンテンツを作ってみたり、イベント出展やグッズの移動販売などをしてみたりと、“動く編集部”をさまざま活用していこうと思っています。
次回はいよいよ完成したnoru carで「完成披露! 〇〇へ行ってみた編」をお届けします。お楽しみに。
noruのオリジナル軽トラキャンピングカー | 連載「noru car project」記事一覧
Photo by Shinji Yagi / noru journal Text by Ryo Muramatsu