travel

2022.07.01

#06 部屋ごと非日常へ行ける、自分だけの時間
by 栗田萌瑛

ガイドブックやメディアに載っていない自分だけのロードマップを作る旅。この連載は、そんな“自分らしいクルマ旅”のススメを、多拠点生活をおくる人や、地方在住者、移動が日常にある人など、日本のさまざまな土地で根を下ろす人々に聞くもの。今回は北海道の旅を、フォトグラファーである栗田 萌瑛さんが紹介してくれる。

ガイドブックには載っていない旅のススメ| 連載「自分らしいクルマ旅」記事一覧

» 自分らしいクルマ旅

気持ちの良い朝を迎えにいく旅

栗田 萌瑛/フォトグラファー

area:北海道

フォトグラファーとして長野県大町に自宅兼アトリエを持ち、東京にも小さな事務所を構える二拠点生活者の栗田萌瑛さん。6歳のときに家族で東京から移った長野県白馬村の家では、朝起きたときすぐに山が見えるようにと、自身の部屋の窓にはカーテンがかかっていなかったのだそう。栗田さんのクルマ旅には、そんな幼少期の記憶が垣間見える。

「クルマで寝泊りしながら旅をすると、眠る場所を自分で決めることができます。 夜眠りについた場所は、当たり前だけど朝目覚めた時にいる場所ですよね。 起きた時、1番に見たい景色を後ろの窓を額にみたてて設定し、最高の朝を迎えるために眠りにつきます。 起きたらその景色を見ながらお湯を沸かしてお茶を入れ、ただ眺めたり、本を読んだり。その地で流れているラジオを聞いたりして、そこに流れる時間を過ごします」

気に入った場所で、クルマを自分の部屋のようにして時間を過ごすのが栗田さん流のクルマ旅。中でも思い出深いのが、学生のころに行った冬の北海道への旅だ。元旦を良い朝で迎えたいと思って、新潟港からフェリーにクルマをのせて小樽に着き、そこから東を目指したのだそう。

「冬の北海道の車中泊は本当に、それはそれは寒いですが、 大地の広さを感じたいとき、 静かな夜を過ごしたいとき、 気持ちの良い朝を迎えたいときにはピッタリなんです」

道東の厚岸、根室、標津、羅臼などの海際で寝泊りしていた車窓風景と合わせて一部のスポットを紹介しよう。
 

北海道野付郡

01.野付埼灯台

原生花園が壮大に広がる

根室半島と知床半島の間に位置する野付半島の先端にある灯台。このエリアはハマナスをはじめ、エゾカンゾウ、ハナショウブが咲く原生花園となっています。春から夏にかけて花を咲かせ、晩秋から冬にかけては、対岸の国後島を望むことができる日もあります。

住所
〒086-1645 北海道野付郡別海町野付


 
 

北海道野付郡

02.風蓮湖畔公園

白鳥の飛来地であり、動植物の楽園

ラムサール条約登録湿地である「風蓮湖」に面するように位置している公園。風蓮湖とは、別海十景の1つで別海町と根室市にまたがる大きな湖。白鳥の飛来地、動植物の楽園として有名なスポット。公園前方には漁港があり、釣り人の休息の場としても親しまれています。

住所
〒086-0523 北海道野付郡別海町走古丹


 
 

北海道厚岸郡

03.愛冠岬

クルマ旅の名所であり、カップルの聖地

厚岸の代表的な名所、愛冠(あいかっぷ)岬。厚岸湾に突き出ている岬は、数10mの断崖上にあり、眼前には海鳥繁殖地として有名な大黒島・小島を、眼下には筑紫恋海岸を望み、勇壮な景色を見ることができます。岬突端には「愛の鐘ベルアーチ」があり、これを鳴らすと愛(思い)が叶うのだそうです。

住所
〒088-1113 北海道厚岸郡厚岸町愛冠5


 
 

栗田萌瑛 (くりた もえ)
長野県育ちの写真家。武蔵野美術大学陶磁専攻卒業後、泊昭雄氏に師事。 2017年独立。現在は長野県大町を拠点に、都内にもアトリエも持つ。
instagram:@moekurita