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#35 クルマ旅の目的地になる、ステキなお店の共通点
2024.04.22

#35 クルマ旅の目的地になる、ステキなお店の共通点
by 小西健司

ガイドブックやメディアに載っていない自分だけのロードマップを作る旅。この連載は、そんな“自分らしいクルマ旅”のススメを、多拠点生活をおくる人や、地方在住者、移動が日常にある人など、日本のさまざまな土地で根を下ろす人々に聞くもの。今回は神奈川県平塚市でカレー専門店「ニューローズ」を経営する小西健司さんが、県内でピックアップしてくれた“癒しと憧れ”のお店たちを紹介してくれる。

ガイドブックには載っていない旅のススメ| 連載「自分らしいクルマ旅」記事一覧

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癒しと憧れのお店を巡るクルマ旅

小西健司/飲食店経営・代表

area:神奈川県

湘南の海風で草木が揺れ、花水川が流れる音が聞こえてくる平塚の地。そこで、“モダンジャパニーズカレー”をコンセプトとするカレー専門店〈ニューローズ〉を経営する小西健司さん。茅ヶ崎のカレー屋やクラフトビールバルで働いたのち、ホームタウンである平塚にお店をオープンさせた。ルー・リードのアルバム『CONEY ISLAND BABY』のジャケットからヒントを得たという店のロゴが入ったピンク色の扉を開けると、ネオ80年代テイストのポップな店内が迎えてくれる。窓際に飾られた植物やアート、棚に並べられたお酒のボトルや本、オリジナルグッズまで、小西さんのこだわりが詰まった店内。そこで口にするニューローズのカレーはベースとなる出汁から拘られており、“リッチなごちそう感”を与えてくれる唯一無二の日本式カレーといえる味わいだ。多くの人に愛されている。

飲食店経営の仕事柄、自信のお店作りの参考にと様々なお店へ訪れ、彼自身も訪れた店舗のステキな外観や内観、小物や備品装飾品、商品やサービスに触れ心躍らせる時間を大切にしているという。

小西氏が思う“ステキなお店”には共通点がある。それは駅からは離れていて、なかなか行きづらい場所にあり、そこを目指して“クルマ”を走らせないといけないということ。アクセスが決して良いとは言えない場所に凛として佇み、多くの人々から愛されるお店は、それだけ人を惹きつける店主の拘りが詰まっているということであり、彼に憧れの気持ちさえ抱かせてしまうそうだ。

そんなステキなお店を求め、休みになれば愛車『フィアットパンダ4×4』を走らせる。

「私が住む『湘南』と呼ばれるエリアの魅力は、やはり海。気になるお店へと向かうため、海沿いのドライブをする時間、窓から眺める海の景色は、休日の幸福感をより高めてくれます。クルマで移動していると『あ、ここに新しいお店ができている!』とか、『こんなところにめちゃくちゃいい感じのお店がある!』とか、海沿いの道を走り、新たなお店の発見があるのも楽しみの一つです。」

街にセンスの良い店があれば、そこが起点となり、お店や人が集まる渦のようなものを作っていけると考えている小西さん。だからこそ、自分自信も一人のお客さんとして、お店を訪れた際の心躍る感覚を養うため、クルマ旅へと出掛ける。

「休日のご褒美が、私にとってクルマ旅なんです。クルマで出かけようと思い立った時から感じる高揚感、実際に運転する中で感じるワクワク感。目的地へ到着し、体験を通して満たされる充実感や幸福感、癒しといった気持ち。クルマ旅には、私の人生における“小さなハッピー”が詰まっています。」

今回、小西さんが紹介してくれたのは、『癒しと憧れのお店を巡る旅』。

飲食店経営をしている彼にとって、食を体験する時間は、食を提供している時間と同じくらい大事な時間。訪れた先のステキなお店で過ごす時間が、自信のお店作りのヒントにもなっているという。

「休日にしたいことは美味しいものを食べたり、ステキなお店を体験したりすることです。飲食店を巡ることで自分自身が癒やされて、憧れの気持ちを抱かせるお店と出会えることが、日々の刺激となり、自分の店ももっともっと良いお店にしたいという、仕事への活力にも繋がっています。

日々忙しくされている方々に、湘南ならではの『ゆったりした時間』を感じながら、ステキなお店巡りを楽しんでいただけると嬉しいです。」

神奈川県中郡二宮町

01.BoulangerieYamasita

古き良き時代の風情感じる、西湘の古民家ベーカリー

湘南でも『西湘』と呼ばれるエリアにある自然豊かな二宮の駅から離れた旧道に佇む、大人気のベーカリー。古民家を改築したというお店は、ヨーロッパの街角にあるような美しさをもち、どこか風情のあるハイセンスな佇まいがあります。店の奥には“食堂”と呼ばれるイートインスペースがあり、ステキなアンティークの家具や小物が並んでいます。
ここで過ごす時間はどこか懐かしく、提供されるパンやスープも派手さはないですが、ずっと食べていたい味わい。休日、とても遠くに来たような気持ちのゆとりを与えてくれる、優しく、温かい時間を感じる場所です。

住所
〒259-0123 神奈川県中郡二宮町二宮1330
URL
boulangerieyamashita.com

 

神奈川県鎌倉市

02.WoofCurry

カレー業界の大先輩が提供する『ごちそうカレー』

鎌倉駅から徒歩20分くらい離れた由比ガ浜大通り沿いにある欧風カレーの超人気店。
二階建ての洗礼されたミニマルな外観と落ち着いた雰囲気の無駄のないハイセンスな内観。提供されるカレーは具沢山でまさに“ごちそうカレー”。カレー店を営み、大のカレー好きである私のお腹と心を満たしてくれます。今年16周年を迎えられ、カレー業界の大先輩でもあり、永く愛され続けるスタイルは、憧れの存在です。

住所
〒248-0016 神奈川県鎌倉市長谷2-10-39
URL
woof-curry.com

 

神奈川県鎌倉市

03.POMPONCAKES BLVD.

静寂と優しさに包まれる、心と味覚が融合する空間

鎌倉中心部から車で10分ほど離れた山側の高台に位置し、山の緑に囲まれた美しく閑静なエリアである梶原。その地で2015年から多くのファンを集めているお店です。木目調の空間に優しい日の光が差し込む明るい店内。小物から飾られたお花、家具や絵。全てが自然に調和していて、店主のただならぬバランス感覚とセンスで溢れています。
こちらで提供されている焼き菓子やケーキも優しい味わいで、口に入れた瞬間、身体全体に沁み渡ります。自分のセンスも高まる気がする、そんな心を上げてくれるお店です。

住所
〒247-0063 神奈川県鎌倉市梶原4丁目1-6 助川ビル101
URL
pomponcakes.com
IG
@pomponcakes_j

 

神奈川県鎌倉市

04.かかん 梶原店

行列が証明する絶品麻婆豆腐、梶原から広がる人気の源

POMPONCAKES BLVD.のはす向かいにあり、優しい風が吹く、絶妙な“抜け感”のあるお店です。提供される絶品麻婆豆腐は、行列を作るほどの人気ぶりで、日々沢山の人がここを目的に訪れています。梶原店を起点に鎌倉由比ガ浜にはおみやげ専門店を構え、東京、京都にも店舗を拡大されています。オーナーも友人であり、どんどん広がっていくお店の姿にとても刺激を受けています。

住所
〒247-0063 神奈川県鎌倉市梶原1-20-7
URL
kakanmabo.tumblr.com
IG
@kakan_mapotofu

 

神奈川県茅ヶ崎市

05.小川売店

ハッピーになれる人生No.1クレープのあるお店

茅ヶ崎、海岸通りからは少し内陸に入った鉄砲通り沿いに佇む、ステキな夫婦が経営するカフェ。駅から歩くと30分くらいかかりますが、沢山のお客さんが訪れる人気店です。昭和の喫茶店やパーラーの雰囲気を感じさせるシティポップ的な配色が心躍る時間を与えてくれます。1杯ずつ丁寧に提供される、オリジナルブレンドのコーヒー、また看板メニューのクレープは、これまでの人生におけるクレープランキング一位といえるレベル。もっちりとしながらも重くなく、ぺろりと食べられてしまいます。出勤前や休日、自分へのご褒美に、ハッピーを与えてくれる、大好きなお店です。

住所
〒253-0061神奈川県茅ヶ崎市南湖5-11-1
IG
@ogawabaiten

 

小西健司 (こにしけんじ)
神奈川県平塚市出身。茅ヶ崎にあるカレー屋〈GARA中海岸〉や、クラフトビール醸造所〈バーバリックワークス〉を併設した茅ケ崎のビアバー〈Gold’n BuB〉の店長を経て、2019年4月にカレー専門店〈ニューローズ〉をオープン。

IG:@newrose_curry

Text by Kouta Hara