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2024.04.09

#34 穏やかな瀬戸内で、安らぎのクルマ旅
by 上原和人

ガイドブックやメディアに載っていない自分だけのロードマップを作る旅。この連載は、そんな“自分らしいクルマ旅”のススメを、多拠点生活をおくる人や、地方在住者、移動が日常にある人など、日本のさまざまな土地で根を下ろす人々に聞くもの。今回はフォトグラファー・デザイナー/2人組農家〈みなと組〉の上原和人 さんが瀬戸内の地を巡る旅を紹介してくれる。

この記事は、DANNERとPAPERSKYが取り組むローカルマッププロジェクト「OUTSIDERS」とのコラボレーションにて配信しています。エピソードごとにさまざまな土地を訪れ、外遊びを楽しむ人々の目線で旅をし、オリジナルのマップを制作していくこのプロジェクトの第2弾では、2人組農家〈みなと組〉によるローカルマップを配信中。

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瀬戸内の穏やかな自然と向き合う旅へ

上原和人/農家・フォトグラファー兼デザイナー

area:瀬戸内

広島在来品種の野菜とハーブを育てる2人組農家〈みなと組〉に所属しながら、フォトグラファー兼デザイナーとして活動する上原和人さん。地元であり現在の拠点となっているのは、瀬戸内海の真ん中に浮かぶ因島だ。古くから造船の町として栄えてきた因島は、風光明媚な景色が楽しめる観光地としても知られ、瀬戸内海の島々を橋で繋いだ全長約60kmの海道で本州と四国を結ぶ『瀬戸内しまなみ海道』が通る。

公共交通機関が整備されていない島暮らしにおいて、クルマは生活必需品であるのと同時に、日々の生活の輪から飛び出して、非日常へと連れて行ってくれる存在でもある。泊まりがけの遠出や派手な場所に出かけることはほとんどないという上原さんだが、少し羽をのばしたくなった時には、クルマとカメラと共にいろんな海辺に足を運んでいるという。

「同じ場所に何度行っても、毎回小さな変化はあるものです。そういう小さい変化を感じ取るというモノの見方は、仕事にも活かせている気がします。」

今回上原さんが紹介してくれたのは、しまなみ海道の途中、愛媛県の海に浮かぶ大三島をメインとしたクルマ旅だ。サイクリングの聖地として語られることの多いしまなみ海道だが、このルートはクルマが最適だという。

「ルートと時間配分が自由自在なところがクルマ旅の楽しみのひとつですよね。ふと良い景色に出合った時には、思う存分その場所に居座ることもできます。夜道でも、クルマならイノシシに遭遇しても安心です…!」

海の側で育った上原さんにとって、大三島は、凝り固まった脳みそを解し、物事をほんの少し違う視点から見られるようにしてくれる存在だ。

「アクティブな日常から離れて、ゆっくりとした時間を海辺で過ごしたい方に、是非このコースを巡ってみてほしいです。僕のように瀬戸内に住んでいる人にも、遠くから旅行で来られる方にも、どちらの方にもおすすめできると思っています。」

広島県尾道市因島

01.ミドリノコヤ

島の人、旅の人がゆるやかに繋がる喫茶店

同じ町に住む姉が営む喫茶店「ミドリノコヤ」。穏やかな瀬戸内の海を目の前にコーヒーを飲むことができ、また店主自らが焼くキャラメルナッツタルトもおすすめです。ここでホットコーヒーを購入し、たわいない会話をしたら出発。

住所
〒722-2101 広島県尾道市因島大浜町380-3
営業日
火・水・土・日
IG
@midorino_coya

 

広島県尾道市〜愛媛県今治市

02.瀬戸内しまなみ海道

本州と四国を結ぶ絶景ロードで島から島へ

しまなみ海道に架かる橋がいつも堂々と出迎えてくれ、島から島へ楽しくドライブできるのでお気に入りです。海の見える高速道路を、速すぎず遅すぎない速度で走るのが気持ちいい。途中のサービスエリアから橋を眺めるのもおすすめです。

 

愛媛県今治市大三島

03.大三島の海岸線

海岸線を心赴くままにドライブする

大三島を一周すると約40kmのドライブコースになります。その途中には、海のすぐ側にクルマを停めて景色を眺めたり、浜まで降りることができる場所があり、僕のお気に入りの停車スポットになっています。趣味の石拾いをしたり、波の音を聴いたりと、自分の時間を作ることで心が落ち着きます。しまなみ海道はサイクリングが人気ですが、サイクリングロードとは少しズレた場所にあるので、クルマだからこそ気軽に行くことができる場所です。

 

愛媛県今治市大三島

04.大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)

“神の島”大三島のパワースポット

「日本すべての氏神さま」を意味する日本総鎮守とされる、大山祇神社。全国に一万社あまりの分社を持つ神社の総本社です。境内には樹齢3,000年を越すと言われる楠木があり、その他にも38本の楠木が天然記念物として登録されています。日本ではもう数少ない原生林の名残を感じることができ、自然と心地いいと感じられる空間です。1人で大三島に来る際には必ず参拝しています。

住所
〒794-1393 愛媛県今治市大三島町宮浦3327
URL
oomishimagu.jp

 

愛媛県今治市大三島

05.マーレグラッシア大三島

海洋療法を取り入れた海水風呂

生命の源である海の恵みを体内に取り組むことで、身体の自然なバランスを取り戻す「タラソテラピー(海洋療法)」を取り入れた温浴施設。日々の疲れはここで洗い流す!と決めているのがこの温泉です。建物が島の西側に位置するので、露天風呂から夕日を眺めることができます。海水を温めた塩風呂も格別です。地元の方が多く訪れる温泉で、常連のおじいちゃんに話しかけられることもしばしば。友人が遊びに来た時、必ず連れて行ってあげたくなる場所の一つでもあります。

住所
〒794-1304 愛媛県今治市大三島町宮浦5902
入浴
10:00~20:00 (19:30札止め)
休館日
毎週水曜定休日/2月第1火・水・木(オーバーホール日)

 

上原和人 (うえはら かずと)
フォトグラファー・デザイナー。2人組農家〈みなと組〉のビジュアル制作担当。因島大浜町出身。〈みなと組〉のSNSやHPの撮影をするほか『みなと組マガジン』のデザインも手掛けている。〈みなと組〉に所属しながら、因島を拠点にフォトグラファー、デザイナーとしても活動している。
IG:@minatogumi
@kazuto.200

Text by manmaru / Support by PAPERSKY