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クルマはOSを搭載した移動ツールになっていく
2023.12.23 [PROMOTION]

クルマはOSを搭載した移動ツールになっていく

1948年にイギリスで天才エンジニアのコーリン・チャップマンによって誕生したスポーツカー「ロータス」。現在は中国のジーリー社の傘下となり、ブランドの誕生80周年となる2028年を見据えて「ビジョン80」を掲げている。オール電動のラグジュアリーなモビリティ・プロバイダーへと変革する計画だ。オーディオブランドのKEF社とパートナーシップを締結するなど、移動空間の新たな価値の提案が始まる。

ロータスの先進性と“For the Drivers”の理念

クルマが好きな方で“コーリン・チャップマン”の名前を知らない人はいないだろうか。20世紀後半の自動車産業の発展に影響を与えたイギリス人エンジニアで、ロータスの創業者だ。ロンドン大学で構造力学を専攻した彼は、大学在学中からモータースポーツに夢中になり、資金調達のために中古車販売に携わっていた。のちに妻となるガールフレンドのヘイゼルの家の裏庭のガレージで売れ残った中古車の1台であるオースチン・7の改造を進め、完成させて〈ロータス〉と名付けたのが1948年のこと。この1号車がロータス・マーク1と呼ばれ、ロータス・ブランドが誕生した。

ローカルな自動車レースへの参戦を続けながら、本格的なスポーツカー製造を始めるために52年1月1日にロータス・エンジニアリング社を創設。F1への参戦やそこでの技術革新などで自動車産業に影響を与えるも、あくまでも“For the Drivers”に徹するチャップマン。製品開発には多大なコストを費やしながらもリーズナブルな価格での製品販売を続け、経営的には浮き沈みを繰り返していた。そして82年、54歳にしてチャップマンが病気により急逝。経営難も深刻化しつつある中、86年にゼネラルモーターズ(GM)に買収されて以降は、93年にブガッティ、96年にマレーシアの自動車メーカー・プロトンの傘下になるなど、他ブランドへの売却を何度か重ねていく。

〈ロータス〉にとって最大の転換点となったのが、中国の自動車メーカーであるジーリーが筆頭株主になった2017年。「ビジョン80」を発表するのは、翌2018年のことだ。


運転体験を変え、没入感ある音響も実現

2021年までに従来製品の生産を終了し、昨年に「EMIRA(エミーラ)」、そして今年に「ELETRE(エレトレ)」と立て続けに2モデルが発表された。

そこで東京・原宿のショールームに登場したエレトレを詳しく見ていこう。『ロータス市場最も先進的』と評されるこのモデルは、ロータス初のオールエレクトリックハイパーSUV。スポーツカーの設計ノウハウを最大限に活用し、ブランド初となるフォーシーター・スポーツカーを実現、ロータスの日本正規代理店であるLCIで広報を担当する中村康宏さんは、『これまでの2シーターのスポーツカーに限定されず、普段使いができて、家族でも楽しめるモデルとしてSUV』を手がけたというが、それでも“For the Drivers”の理念は踏襲されている。

「EVならではの運転の楽しさというものがあります。極端な話、アクセルを踏んだときの加速感は、ガソリン車とは比べ物になりません。そして回生ブレーキにより、アクセルを離すと同時に減速して止まる仕組みができていて、非常にクセになる運転の感覚があります。長距離の運転でも疲労が溜まりにくく、なおかつスポーツカーの楽しみもある。CHAdeMO規格の急速充電器で、1度フル充電すれば600km走行できるので、遠出する際のストレスも大きく軽減されます」

エレトレに搭載されたLiDARシステムは、クルマの周囲200メートルをあらゆる方向にスキャンし、周囲の高度な3Dマップを生成。暗い場所や悪天候でも障害物を検出し、さらには超望遠のHDカメラによって前方500メートルを、さらに広角レンズや4つのサイドカメラとリアセンサーにより、360度をカバー。近くに人が立っているとエンジンの始動自体が止まるなど、事故の可能性を限りなくゼロに近くするシステムを装備する。

車内環境の整備も徹底する。そのひとつが、〈KEF〉とパートナーシップを締結したオーディオ環境だ。エレトレとエミーラにおいては、デフォルトで〈KEF〉のスピーカーを搭載。〈KEF〉のフラッグシッププレミアムスピーカーを担当したエンジニアリングチームによって複雑に調整され、従来の車載オーディオシステムのツイーターとミッドレンジドライバーが分離されたサウンドエクスペリエンスを解消。高域と中域の音をひとつの点音源から発信するUni-Qドライバー®️の車載専用バージョンを開発し、ずっしりと響く低音とクリアな高音のどちらも響かせ、まるで劇場や映画館であるかのような臨場感のあるシネマサラウンドを実現する。〈KEF〉日本法人でコマーシャル・ディレクターを務める福島真澄さんは、パートナーシップを締結した経緯の3つのポイントを挙げる。

「まずロータスさんと弊社は、革新的な技術開発を妥協なく続けるブランドであるという共通点があります。そのうえで、お客さまに感情を伴った最高の体験をしていただきたいという思いが、パートナーとして一緒にものづくりをする原動力となりました。そして次に、今後のビジネスの拡大を考えたときに、コアなファンの方々に限らず、より多くの方々にドライビングとサウンドを体験していただきたいという思いがさらに後押ししました。3つ目のポイントはシンプルで、両社ともにルーツがイギリスであること。イギリスのものづくりの力を世界に発信したいという気持ちも共有しています」

移動の未来を担うのは“OSとしてのクルマ”

「音源の作者の意図をそのまま届ける“原音再生”へのこだわりは、ホームオーディオを開発するときも車載オーディオを開発するときも変わりません」と福島は続ける。

「カラダ全体でどのように音を体験していただくかということを弊社では常に意識しています。ロータスさんのエレトレやエミーラであれば、音を空間全体に拡散するUni-Qドライバーのタンジェリン・ウェーブガイドによって、どのシートでも同じレベルで音を楽しむことができます。何人かでドライブをしながら音を楽しむ、新たな体験ができるのではないかと考えています」

高解像度OLEDのセンタースクリーンがタッチパネルとなっており、音響や再生の操作はもちろんのこと、エアコンの風向きの調整などもすべて簡単に指で操作ができる。クルマの未来の形について、LCIの中村さんはこう表現する。

「運転して楽しいクルマの魅力を残しながらも、シンプルな操作で快適に移動できる、これからのクルマはひとつのOSのような存在になっていくのだと思います。エレトレの自動運転機能も、完全自律走行を実現できるレベル4をクリアしているので、法律によって認証されれば稼働するように無線でアップデートされますし、指先の簡単な操作で家族が乗れて、十分に荷物も運べて、かつ安全に移動できる。まさにOSを搭載した移動ツールになると考えています」

上質なホームオーディオと同様の環境で音を味わいながら、安全かつ快適に移動を楽しむ。KEFとロータスのパートナーシップは、クルマがOSを活用する未来の移動のカタチを予言している。

photo by Kenichi Muramatsu / text by Ryohei Nakajima / supported by KEF Japan