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2024.01.15

ユニークなクルマが一堂に!バンライファーの祭典『VANTOWN』をレポート。

クルマを主体にしたアウトドアの過ごし方を提案している〈VANCAMP JAPAN〉が、バンライファーのためのイベント『VANTOWN』を開催! 1980年代のアメリカのカルチャーをテーマに掲げたイベントに、60 ものベンダーと、数十台の個性的なバンライフカー&キャンピングカーが集まった。気鋭のビルダーが手がける新作キャンピングカーから、日本らしいアイデアやものづくりの哲学が息づく軽バンスタイルまで、ユニークなクルマ&オーナーをピックアップ。

「1日限りのマボロシの街」という設定で、江東区のカヌー・スラロームセンターに設けられた『VANTOWN』。80年代を彷彿とさせるネオンカラーで彩られた場内を、ラジカセを担ぎ、ローラースケートを履いた人々が行き交う。

建築デザインのプロならでは!完成度の高い1台

宮崎秀仁 〈38explore〉
IG:@38explore

自らのブランド〈38explore〉で、外遊びで役に立つプロダクトの開発・デザインを行っている宮崎秀仁さん。小学生のとき、登山をきっかけにキャンプを始めたそうで、そのキャリアは35年超!豊富な経験と独自の審美眼を生かし、2017年に自身のブランドを立ち上げた。現在もスキー、登山、キャンプとさまざまな外遊びを満喫している宮崎さんのライフスタイルに欠かせない相棒が、愛車の’96年式MITSUBISHI デリカバン。

縦のラインで統一した荷室スペース。木材で設えた寝台は引き出し式になっており、伸縮する仕様だ。リアゲートを開けて寝台を引き出せば、足を伸ばしてくつろぐことができる。

「デリカバンは商用バンに比べると床が高く、収納スペースが限られますから、いろいろ工夫が必要でした」

「スキーや登山など車中で前泊する機会が多かったので、キャンプの延長で使える仕様にカスタムすることにしました。アクティビティとセットなので、使い勝手を考えてソーラーパネルとサブバッテリー、インバーターも載せています」

宮崎さんの本業はインテリアや建築デザインだが、大工仕事やDIYが得意なことから内装はすべて自分で手を入れたそう。「制作期間が1ヶ月しかなく、突貫工事になってしまった」というが、見事な仕上がり!

「デリカバンは室内空間が狭いので、空間を最大限に有効活用する&広く見せる工夫を施しました」

本業である建築デザインの視点を取り入れたカスタムは、たとえば『室内のラインは縦方向に統一』『コンソールは低め&フラットに設え、奥行き感を強調する』といいうように、とにかく考え抜かれている。


マグネットを使えるよう、ツールボックスはメタルで統一。これはTOYOのもの。ツールボックスの裏には照明が仕込まれている。

運転席と荷室の仕切りは設けず、コンソール類の高さは低めに設定。視線が妨げられないことで空間を広く見せる効果を狙った。

バンライフ仕様に仕上げて1年目、この冬もスキーへ、キャンプへ、さまざまな遊びに出かける予定だ。

色も質感も揃えて、一貫した世界観を表現する


宮川敦
IG:@38111studio

カーサイドタープを使ったキャンプシーンのトータルコーディネートが光っていたのは、キャンパーの宮川敦さん。愛車はスバル・サンバー。

「サンバーの前に乗っていたジムニーの買い替えのタイミングで、あれこれクルマをリサーチしていたら海外のバンライフに行きつきました。自分もこんなスタイルのバンライフをやってみたいなと思い、ちょこちょこクルマをいじるようになったんです」

本職は現場監督で、DIYはお手のもの。後部シートを取り外し、床と天井を木材で覆った。椅子を置いてくつろげるよう、あえて作り付けのベッドや収納スペースは設けなかった。

「もう少し中が広ければ…… と欲は膨らみますが、アイデア次第で空間をより有効に使えます。小さいからこそ自分のスキルや発想が問われる、そこに豊かさを感じますね。そういう意味で、軽バンキャンパーには無限の可能性があると思っています」


有孔ボードをうまく使って収納力を拡張。

とにかく手を入れることが好き、という宮川さん。だから『完成形』はない。ホームセンターで買ってきた既製品も、色や質感を変えたり、デザインや仕様を変更したり。なにかしら手を加えることで、宮川さんらしい世界観が表現されている。


外に置いたギアも、既製品のデザインやサイズを変えたり、色を塗り替えたり、サンバーにフィットするようアレンジしている。

「手を入れ続けながら、そのときの自分の好みや過ごし方にフィットするスタイルを叶えることができればと思っています。最近は休みのたび、人がいないエリアに出かけてクルマにこもって過ごしていますが、まだまだ飽きそうにないですね」

夢を叶えた、自分だけのカフェ空間


中村勇介さん
IG:@chori.diy

岐阜から参加した中村勇介さんは、「DAIHATSU ハイゼットカーゴ」をコーヒースタンドにカスタム。

「いつか自分のカフェをもちたいというのが長年の夢でした。あいにく別の道に進みましたが、その代わりに作ったのがこの、自分だけのカフェスペース。車の中をコーヒースタンドのような内装で設えたら、地元のマルシェに『コーヒースタンドとして出店しませんか』と声をかけてもらったんです。キッチンカーではないのでテントで出店していますが、夢だったカフェ営業を実現できました!バンがつないでくれた縁、ありがたいですね」

祖父母から受け継いだ空き家をDIYしながら暮らしているといい、そのスキルが初めてのカーカスタムにも発揮されている。

「ポイントは、折りたたみ式にせず作りつけにしたカフェカウンターです。コーヒースタンドというコンセプト上、小さいカフェカウンターを設えたいと思って、ホームセンターで板を買ってきて、加工しました」

カットしてやすりをかけてワックスを入れたら、すっかり年季の入ったカウンター風に。カウンターに対面するベンチは展開するとベッドになる造りだ。


軽バンの荷室をコーヒースタンドに。作り付けのカフェカウンターがポイント。

バンライフイベントへの出店は今回が初めてだが、たくさんのカスタムカーを目にして大いに刺激を受けたそう。

「コーヒースタンドというコンセプトはそのまま、窓まわりに手を入れてさらに完成度を高めていきたいと思います」

障子、欄間を備えた茶室バンで、日本一周中


堀口幸二郎 (〈Vancamp Japan〉映像クリエイター)
IG:@kojiro_vanlife

ユニークな和室スタイルのバンを発見!オーナーは、このイベントを主催する〈Vancamp Japan〉の映像作品を手がけるクリエイター、堀口幸二郎さん。ベース車両は「NISSAN バネットバン」。『いままでにないバンを作ろう』と企画し、〈Renovan Japan〉の松尾颯さんに相談して製作したものだ。

「コンセプトは『四畳半の茶室Van』。後部座席を取り払い、小さな畳を敷いて四畳半風の空間を作りました。『茶室』なので、中央には囲炉裏をイメージした板敷きのスペースを。天井は竹で覆い、欄間も再現して茶室の雰囲気を作ってみました」

窓には障子をあしらったが、右側の障子ははめ殺しではなく開閉できるようになっている。「窓越しから撮った写真は『いかにもバンライフ!』という雰囲気に仕上がるので、そこは造作にこだわりました」というから、さすが映像作家である。


竹遣いや欄間がポイントの和室。障子は開閉できる仕様になっている。

実際にこのクルマで全国をまわっている堀口さん。和室バンという物珍しさもあって、クルマをきっかけにしたローカルとの会話が盛り上がることも。

「岡山を旅していたときに備前焼の直売所に立ち寄ったのですが、和室の作りを陶芸家の方にすごく気に入っていただけ、焼きものを一ついただいたこともありました。クルマをきっかけに新しい出会いがあったり、会話が盛り上がったり、旅の醍醐味は土地の方々との交流にあることを実感しています」


運転席と荷室の間には土間を設け、玉砂利を敷いた。庭石風の石には旅先で手に入れたステッカーを貼っている。

注目のビルダーの一台は、重厚な天然木をふんだんに使って


松尾颯(〈Renovan Japan〉代表、キャンピングカービルダー)
IG:@campingcar.hayato
renovanjapan.com

車両の仕入れから製作まで、キャンピングカーのフルオーダーメイドを請け負う〈Renovan Japan〉の松尾颯さん。これまでに和室から山小屋風、サウナカーと実にさまざまなキャンピングカーを製作してきた。そんな松尾さんがこのイベントでお披露目したのが、〈Renovan Japan〉でのレンタル用に製作したキャンピングカー。

「〈Renovan Japan〉ではクルマをリノベするだけでなく、クルマに手を加えることで人生やライフスタイルまでも改変することを提案しています。とはいえ、バンを買う、リノベするというのはハードルが高く感じるもの。まずは気軽にバンライフを体験してみていただきたいと思い、自社でレンタルキャンピングカーを用意してみました」


一目惚れしたというヒノキの天板をカフェテーブル風に。伊豆から東京・多摩地域に構える工房まで天板を運ぶ車中は、猛烈な涙とくしゃみに悩まされた。「そういえば僕、ヒノキアレルギーでした(笑)」

ベースは平成9年式の「NISSAN キャラバンE24系」。車内でまず目を引かれるのは、カフェテーブルとしてあしらった重厚なヒノキの天板だ。伊豆の木材店で見つけて一目惚れ、「これをクルマに使いたい!」とこのクルマの製作をスタートしたそう。

「空間を有効活用するため、バンの内装には薄くて軽い材を使うのが一般的ですが、あえて厚みのある天然木を採用しました。実際に重量もありますが、ベースが商用バンなので問題なし」

テーブルの脚としてあしらったのは、なんと流木!本栖湖の浜辺に埋まっていたものを、スコップとノコギリを使って何時間も費やして掘り出したそう。

「掘り出した後、ヤスリで磨いてオイルワックス塗装して。一本の木に見えますが、実は細かなパーツにカットして、この空間に収まるよう組み合わせました」

そのほかにも跳ね上げ式のベッド、カフェテーブル下の照明付きギャラリースペースなど、細部に至るまで作り込んだ。


カフェテーブルも作業机も厚みのある天然木を使い、バンを超える空間を作り出した。

キャンピングカーレンタルを、“非日常の体験を提供するコンテンツとして活用していきたい”という松尾さん。体験を通じて追求したいのは、〈Renovan Japan〉のキャンピグカーを選んでくれた人との長きに渡る関係だ。

「クルマを製作して納品して終わり、ではなく、その方のライフスタイルに長く寄り添ってその時々の最適なスタイルを提案していきたいと考えています。このキャンピングカーでのバンライフ体験をきっかけに、そうした関係性の下地づくりができたらいいですね」

主催する〈VANCAMP JAPAN〉にとっても、今回の「VANTOWN」のように大規模なイベントの実施は大きなチャレンジだった。

「キャンプシーンが成熟しつつあるなかで、コアなキャンパーからバンライファーへの熱い注目を感じています。バンキャンプは活動のフィールドが異なるキャンプ愛好家や旅好きが、共通の価値観をもって集まれる貴重なアクティテビティ。同じ嗜好をもつ仲間を増やし、繋がっていくために、今後もこういう機会を積極的にもっていきたいと考えています(〈VANCAMP JAPAN〉代表の小潤平さん)」

ここでは紹介できなかったけれど、〈VANCAMP JAPAN〉チームのカスタムバンもそれぞれにこだわりがあって見応えあり!彼らのクルマ遍歴やDIYスペックの詳細は後日、PEOPLEにてご紹介するので、こちらもお楽しみに。

photo by Shinji Yagi / text by Ryoko Kuraishi