セレクターを変えながらお届けしている連載企画「#これからの時代に役立つクルマ旅ギア紹介」。今回愛用品を紹介してくれたのは、プロダクトデザイナーの熊野亘さん。“実生活を豊かにするデザイン”をフィロソフィーとする熊野さんがデザインに携わり、そして実際に日常生活で使用しているモノをピックアップし、作り手・使い手としての想いを伺った。

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select by スタイリスト 平健一
select by noru journnal編集長 村松亮
select by バンライファー小濱潤平
select by neru designworksデザイナー neru
select by インスタグラマー YURIE
select by キャンパー issei
select by 建築家 岡田宰
select by クリエイティブ・ディレクター 田中嵐洋
select by イラストレーター オカタオカ
select by Judd.代表 清水隆司
select by 焚き火マイスター 猪野正哉
select by プロダクトデザイナー 熊野亘

週の前半は武蔵野美術大学の教壇に立つために、月曜の朝に2時間半かけて東京へ移動し、水曜日の夜にまた長野県御代田の自宅に向かうという、2拠点生活を送る熊野さん。生活の足となっている95年式ランドクルーザー・プラドとの移動時間は、彼にとって思索に耽る大切な時間。2つの拠点を行き来する生活から、心地よいデザインが生まれている。

アイデアと技術でモダナイズされた“ナタ”

東京・幡ヶ谷にあるアウトドアセレクトショップ〈Nicetime〉が熊野さんにデザインを依頼。日本の伝統を踏襲しながらも、現代のアウトドアライフに最適化した鉈を求め、2年の歳月をかけて完成させたのがこの「NMG 001」というナタ。握りやすく、手への衝撃を和らげてくれるシリコンの製のハンドルや、サンドブラスト加工が施されたマットな質感の刃によって、現代のライフスタイルにマッチする生活用品に昇華されている。また、刃はバトニングなどのハードな使用にも耐えうるフルタング構造。燕三条の農機具メーカーの確かな技術により、薪割りに適したバランスと刃のデザインが実現された。

「技術や科学は常に進歩しているし、人々の生活も時代によってどんどん変わってきている。そんな中で、道具をその時代にあったモノへとアップデートしていくのもプロダクトデザイナーの仕事の一つだと思います。それに使いがってを考えると、まったく新しいモノを発想するより、今まで使われてきたモノを今の生活のために手を加える方が健全だと、普段から思っているんですよね。

これまでのナタは柄に木を使ったモノが普通でしたが、衝撃を手に伝えないという点では、シリコンはとても適しています。それにカラーリングや形もゴツくないので、家の中で暖炉のそばに置いていても違和感なし。焚き付けを作るのにちょうどよく、僕も御代田の家では毎日のように使っています。(熊野亘)」