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#40 お湯のある“日常”に浸かる、道南の温泉を巡る旅
2024.11.22

#40 お湯のある“日常”に浸かる、道南の温泉を巡る旅
by 園部優樹

ガイドブックやメディアに載っていない自分だけのロードマップを作る旅。この連載は、そんな“自分らしいクルマ旅”のススメを、多拠点生活をおくる人や、地方在住者、移動が日常にある人など、日本のさまざまな土地で根を下ろす人々に聞くもの。今回は北海道函館市にて一棟貸しの宿泊施設〈Portside Inn Hakodate〉を運営する〈株式会社Staple函館〉に務める園部優樹さんが『道南温泉旅』をテーマに紹介してくれる。

ガイドブックには載っていない旅のススメ| 連載「自分らしいクルマ旅」記事一覧

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北の大地が生む、豊富な天然温泉を巡るクルマ旅

園部優樹/〈株式会社Staple 函館〉取締役

area:北海道 道南エリア

徒歩20分圏内の『ご近所』を地域づくりの舞台と捉え、ホテルや飲食店の企画や運営を行う〈株式会社Staple〉。同社の子会社にあたる〈株式会社Staple函館〉にて取締役を務める園部優樹さん。
仕事の一貫で訪れた函館にて、街の建物・自然などハード的な魅力はもちろん、人の温かさ、地元の強いコミュニティなどソフト的な魅力に一目惚れし、移住を決意。2022年より一棟貸しの宿泊施設〈Portside Inn Hakodate〉の開発・運営を手掛けている。

Portside Inn Hakodate

「函館のある道南エリアは歴史・文化・建物・自然など要素が揃っている街です。移住やUターンの人も少しずつ増えており、地元の人と新しい人が交じり合い、新たな街の賑わいが生まれています。泊まりに来た方々に、ただ観光地としての印象でなく、ゆったりと流れる時間と、飾らず、心身ともにリラックスできる道南の心地よさを伝えていきたいです」

今回、園部さんが紹介してくれるクルマ旅のテーマは『道南温泉旅』。函館は美しい山々と海に囲まれ、自然が生み出す豊富な地下水と地熱が融合し、温泉が数多く存在する街。函館に移住してから、彼の暮らしの一部となっている『温泉地』を紹介してくれる。

「函館の温泉はほとんどが天然温泉というのが驚き。引っ越してきてからその温泉の多さに衝撃を受け、今では週に3回程度は温泉に行っています。シャンプーセットは常にクルマに積んでありますね。

考え事をしたいときに一人で訪れたり。遊びに来てくれる友達の最初の案内地点として訪れたり。私の函館暮らしを、温泉はなくして語ることはできません。道南での日常は、訪れる人にとって魅力的な“非日常”と思えます。THE観光ではなく、銭湯を巡り、函館で生活しているかのような感覚になって頂けると嬉しいです」

 

北海道函館市大船町

01.ホテル函館ひろめ荘

山中の知られざる、乳白色のオアシス

函館市内からクルマで約1時間、自然に恵まれた最上級真昆布の郷・縄文の里・北海道唯一の国宝(中空土偶)を有する函館市南茅部(みなみかやべ)地区にある温泉ホテル。みなみ北海道では珍しい硫黄泉と重曹泉の2種類の源泉かけ流し天然温泉があり、日帰り入浴も可能。忙しいときに週末に函館市内から日帰りで行くだけでも、山の中の道を進み、乳白色の硫黄の温泉に浸かることでプチ旅行気分を味わうことができる。

住所
〒041-1622 北海道函館市大船町832-2
URL
hotel-hiromeso.grats.jp

 

北海道函館市恵山岬町

02.水無海浜温泉

まるで太平洋に浸るかのように、大迫力ロケーション

函館市内から約1時間のところにある温泉。海岸沿い恵山岬にある無料露天風呂、干潮時の数時間前後のみ姿を現す、全国的にも珍しい天然温泉。波打ち際に作られた岩風呂が2つあり、それぞれ高さが違い、潮の満ち引きにより入浴可能な浴場が変化する。目の前に広がる太平洋の大パノラマで開放感を満喫でき、北海道の自然の恵みを全身で感じることができるところがおすすめ。また、野湯としては珍しく、男女別の更衣室が完備されているので安心。

住所
〒041-0605 北海道函館市恵山岬町

 

北海道茅部郡森町

03.ちゃっぷ林館

活火山を眺めながら、大自然を巡った後の最後の締めに

全国で最も古い自然公園の1つである大沼国定公園から近いところにあり、活火山の駒ヶ岳を望むことのできる温泉。毎分500Lの豊かに噴き出る温泉は、刺激の少ないアルカリ単純温泉(アルカリ性低張性温泉)。駒ケ岳のふもとの大自然を感じられる大露天風呂やお湯の温度ごとに設定された内風呂はジェットバス・打たせ湯・ ジャグジーなど多彩。広い洗い場も備えている。
大沼公園周辺でのドライブや、ハイキングなどで自然を満喫したあとにうってつけ。すぐ隣にはキャンプサイトがあり、キャンプをしているときでも温泉に入れるのは最高。ここに集う人たちもいい空気感を纏われている方が多い。

住所
〒049-2141 北海道茅部郡森町駒ヶ岳657-16
URL
ys-kaisyo.co.jp/chaplinkan
IG
@chappu___ys


 

北海道函館市谷地頭町

04.谷地頭温泉

おかえり、と安心感を与えてくれるちょうどイイ場所

自宅から1番近い温泉。旅から戻ったあとに行くと帰ってきた安心感がある。路面電車の終点『谷地頭』よりほど近くアクセスも便利なことから函館の地元民も足繁く通う施設。
函館山の麓、西部地区というエリアの端に位置しており、わりと静かな場所。露天風呂からは函館山をみることができ、旅で函館に来た方は函館にいるんだなぁということを感じることができる。函館山でのハイキングの後や街歩きで汗を流した方、観光途中のひと休みに立寄るのにピッタリな場所。
施設にはスーツケースが納められるロッカーや、手ぶらでも温泉を楽しめる入浴セットなど、旅行者に優しい設備やサービスも用意されているのも◎。

住所
〒040-0046 北海道函館市谷地頭町20-7

 

北海道函館市末広町

05.White Seed

お湯×クラフトビールで起きる整いの掛け算

温泉に入ったあとに美味しいビールを飲みたいときはここ一択。
函館西部地区にあるクラフトビアバー、ファントムブルワリー。函館市の観光スポット〈金森赤レンガ倉庫〉を一本横道に入った場所にお店がある。2023年6月17日にオープンしたばかりのお店でInternational Beer Cupブロンズ、Japan Great Beer Award ゴールドの受賞歴のある店主は、元々大好きだったクラフトビールの道を究めようと当時勤めていた金融機関を退職。その後ニセコでビール醸造の経験を積み、札幌のビアバーでも働いていたという。
自らの醸造所を持たず、ほかの醸造所へ直接赴き自分自身のレシピのビールをつくる醸造スタイルで、北海道でしか飲めないビールももちろん、全国の醸造所とコラボしたビールも飲むことができるのも旅に幅を持たせてくれる。

住所
〒040-0053 北海道函館市末広町14-4
IG
@whiteseed_beer

 

園部優樹 (そのべゆうき)
茨城生まれ茨城育ち。大学では観光学を専攻。イギリス、フランス、カナダでの交換留学を経験。卒業研究では、地域観光のソーシャルメディア・ブランディングについて研究。2020年、開業チームとしてK5 のフロントスタッフとして〈株式会社Staple〉に入社。その後フロントスーパーバイザーとアセットマネジメントを担当。その後、運営から離れ企画開発にうつり、現在は函館に移住し、〈株式会社Staple函館〉の取締役として宿の運営・開発を担っている。

IG:@yukisonobe

Text by Kouta Hara