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#09 思いがけない寄り道にこそ自分らしさがある。歩く移動でしか得られない学びの哲学〈後編〉
2025.05.09

#09 思いがけない寄り道にこそ自分らしさがある。歩く移動でしか得られない学びの哲学〈後編〉
by ルーカス・B.B.

旅すること、移動することが暮らしに根付いている人々をゲストに迎え、さまざまなお話をお届けする、noru journalのPodcast番組『窓がうごく(仮)』。

前回に引き続き、トラベル・ライフスタイルメディア『PAPERSKY』編集長のルーカス・B.B.さんをお招きしています。前編では、『KATSUO TRAIL』という名を冠した新しいトレイルルートのプロジェクトについて、道を“編集”することの面白さなどについてお聞きしました。この『KATSUO TRAIL』のコンセプトでもあり、書籍として5月5日に発売されたばかりの『TRAIL LEARNING』について、後編では深掘りしていきます。

歩くことは学ぶこと、という“Trail Learning”の哲学には、これからの時代に向けて注目されるべき体験の重要性を考えさせられました。

ここでは音声コンテンをテキスト化してお送りしていきます。

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『KATSUO TRAIL』を通して育てたい、“Trail Learning”というコンセプト

村松:さて、本日のゲストは引き続き『PAPERSKY』編集長のルーカス・B.B.さんにお越しいただいています。 よろしくお願いします。

ルーカス:お願いします。またきました。

村松:前編では、ルーカスが焼津に拠点を持つことをきっかけに企画して、この春に開通し始めたトレイル『KATSUO TRAIL』の話を聞きました。後編ではこの『KATSUO TRAIL』開通に合わせて発売する『TRAIL LEARNING』という書籍についても触れていきます。 歩くことは学ぶこと、というコンセプトを掲げたこの書籍は5月5日に発売しますが、この書籍はそもそもどういうことで始まったの?


5月5日発売『TRAIL LEARNING』¥3,300 (税込)/発行元:みなとラボ出版

ルーカス:そうだね。津田直さんという写真家が『PAPERSKY』の中で、縄文土器の連載を長いことやってくれていて(連載:『Jomon Fieldwork』)、その津田さんが最近田口さん(東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター特任講師/みなとラボ 代表理事)という人に会ったよ、と教えてくれて、この人面白いよと、紹介してくれたんです。その時にはすでに頭の中に『KATSUO TRAIL』のコンセプトがあって、彼は東大の先生をしながら、いろんなメディアにアウトプットをしていて、教育と海のことをフォーカスしていた。きっと田口さんだったら、僕がやりたい表現を、もっと上手に形にできる人だなと思った。“Trail Learning”という言葉はその時点ではなかったけれど、彼は話をすぐに分かってくれて、 “トレイルを歩くこと“には、フィジカルの学びもあるし、歴史的な学びもあるし、いろんな学びがある。つまり、ラーニング(Learning)をしながら歩きたいというコンセプトができていった。サイクリストもハイカーも来れて、学ぶことに興味がある人にも最適な、そこで冗談みたいに、この“Trail Learning”という言葉が生まれた。言葉だけじゃなくて、このコンセプトを育てていこうって。

村松:うん。

ルーカス:このコンセプトを育てるためのトレイルが『KATSUO TRAIL』。そして、このコンセプトとシンクロするような生き方をしている12人にフィーチャーして、それぞれのトレイルへのアプローチを聞いていった証言集のような 1冊ができた。都市と自然を行き来するデザイナーや建築家、自然の墨を使って本を印刷するインクを作っている職人、海を歩きながら魚のことを勉強している研究者、詩人も2人いるね。いろんな“Trail Learning”をしている人たちがいるというをこの本の中で表現している。それと、この『KATSUO TRAIL』が山と海をつないでいるというのが、もう1つのコンセプト。海と山はすごく関係性がある。海だけ綺麗にして山が汚いと意味がないし、その逆もそう。それぞれの関係性を上手につくっていかないと全体のエコシステムにならないから。この書籍の構成もグリーンサイドとブルーサイト、それぞれがあって、真ん中に『KATSUO TRAIL』の記事や地図が掲載されている。『KATSUO TRAIL』の簡単な歴史とか、通過する地域の話や、ワークショップのレポートなどがある。

村松:今、ルーカスが話していた田口さんっていうのは、一般社団法人〈みなとラボ〉の代表理事も務めている方で、東京大学の大学院教育学研究科附属海洋教育センター特任講師。海と人を学びでつなぐ、みたいなことをテーマに活動されている方なんですかね。

ルーカス:そうですね。

村松:本の中でも、田口さんとルーカスの対談があって、田口さんの言葉で印象に残ったのは、道を歩いている人たちの内面的な部分にすごい関心があるっていう話。能動的に歩いているはずなのに、受動的になる部分もあるということを話してるのが、前編でも話したけど移動しながら、でもちょっと受け身になれる速度なのかなって。歩くっていう速度そのものが、やっぱクルマとかで移動していても外の世界の情報って

ルーカス:入ってこない。

村松:そうそう、受け身のように感じられるってわけじゃないから。自転車だとかろうじてある、ランニングもかろうじてある。

ルーカス:うん。

村松:やっぱ歩くって移動しながらある種、受け身にもなれる速度なのかも。

ルーカス:最近よく思うんだけど、インターネットをみんな使うじゃない? 何か調べる時に。何かみんな目的があって調べて、その目的にすぐ届くじゃない。だからあんまり余計な道がない。

村松:寄り道はないよね。

ルーカス:調べたところにまっすぐ行く。何か調べて、みんな同じところへ行くよね(笑)。 で、これが多分、不健康だと思う。たとえば本屋やレコード屋に入ると、探しているものに向かって、いろんな冒険が生まれてくる。本屋であれば、ここ見てこの表紙かっこいい、これを見てなんか見たことない本がある、発見がいっぱいできるじゃない。レコード屋ももっと、レコードを見ながら、そして何か聞きながら、思いがけない出合いがいっぱいあって、その気持ち良さが多分、自分らしい。

村松:うん。

ルーカス:みんな同じ箱に入っても、みんなの出合いが違う。そこが多分、人間にとってすごく良いこと。歩くことだってそう。道を歩いて、自分の目線はどこに行くのか、すれ違う誰に声をかけるとか、自然の何を見るとか、どのペースで歩くのか。自分らしいさがすべてに出てくる。だけど、ここがポイント。速く行くとか、速く探すとかは必要ないこと。効率さはいらない。もっといろんなことにオープンで、何でも吸収できる状態でいることが大切だと思う。そうすれば、自分の体がほしいもの、それが自然に入ってくるんだと思う。きっとみんな歩く必要性があると思う、みんなの体が本能的に何を欲しているのか。それを知る必要がある、そういう時代にいま入ってきているかもしれないね。

村松:昔からさ、「選んでいるようで選ばされてる」って言葉が好きなんだよね。我が家には2
人の子どもがいて、タブレットを渡しているけれど、やっぱりTikTokとかYouTubeとかの危うさというか、もちろんいいものではあるけれども。アルゴリズム上レコメンでバンバン上がってくるじゃない?

ルーカス:ね。

村松:で、彼らはそれを自分の意志で選んでるように感じていると思う。

ルーカス:そう思っちゃってるよね。

村松:でも実は選ばされているっていう危うさもあって。それをすごく自覚していかないと、これからはさ。

ルーカス:ね。

村松:結構怖いというか。一見、僕らも何も考えずにいると選んでいるようで多分、選ばされてる波に飲まれちゃうから。ここ最近さ、歩く本、話題になっているじゃない? 『歩く マジで人生が変わる習慣』池田光史著(ニューズピックスパブリッシング)とか、それとそのうち、この番組のゲストにも呼びたいけれど、『MIDNIGHT PIZZA CLUB 1st BLAZE LANGTANG VALLEY』仲野太賀/上出遼平/阿部裕介 著(講談社) だとか。

ルーカス:はいはい。

村松:読めているものもあれば、『歩く マジで人生が変わる習慣』なんかはまだ積読なんだけど(笑)。

ルーカス:(笑)

村松:何が書かれているか、まだ読んでないからなんとも言えないけど、僕自身がここ何年か、歩くという移動手段に改めて興味が出てきているから。

ルーカス:興味ね。

村松:この『TRAIL LEARNING』って本も今日もらったから読めていないんだけど(笑)。

ルーカス:(笑)。

村松:書籍の中には、僕が知ってる石川直樹さんとか、プロダクトデザイナーの熊野亘さん、建築家の工藤桃子さんとか、知り合いの人たちもたくさん出ていて、この12人の人たちが、改めてこの時代の歩くことの重要性みたいなことを話している。

ルーカス:そうだね。

村松:12人も取材しているってことは長いこと制作していたの?

ルーカス:多分4カ月ぐらいで作っちゃったと思う。結構わりと早いペースだね。

村松:人選は田口さんとルーカスで考えたのかな?

ルーカス:そうだね。話し合って、こういう人たちがいいねというのを、バランス見ながら、歩くってことがいろんな学びがあるということを、幅広く見せたかったから。いろんなジャンルの人、さっき言ったように建築の人もいるし、詩人もいるし、科学者もいるし。

村松:そうね、すごく幅広いね。

ルーカス:『PAPERSKY』によく出ているこの伊藤紺ちゃんが、この『PAPERSKY』の四国の特集(四国 ZEN HIKER with poet KON ITO)に一緒にお遍路に回ったけど、彼女の普段の創作スタイルは、どちらかといえば、室内に籠って制作して、あまり外には出ない。今回このお遍路歩きをして、自分の脳がどう動くとか、自然をすごく感じてもらいながら詩を書いてもらった。多分、その体験で分かってきたと思うから、 本人はこれからは中だけではなくて、外の空気を吸いながらフィジカルを動かしながら制作してみるって。“Trail Learning”的な気づきもあったんじゃないかなって思うね。


引用:PAPERSKY STORE|PAPERSKY #70 SHIKOKU | Zen Hiker issue

村松:確かに確かに。伊藤紺さんの話は僕も『PAPERSKY』のPodcastで聞いたけど、普段はね、割と制作期間は外に出ないって話をしていて、結構こもって言葉を内面掘り下げて詞を書くって話だけど。今回ね、ルーカスが無理やり連れ出して(笑)。

ルーカス:(笑)。

村松:紙面の中でも、歩きながら思いついたことを披露していたね。多分、案外歩く速度は内面的なところにも通ずるというか、まさにその受動的なところと能動的なところが、多分どっちも含ませることができることなのかなと。

ルーカス:石川直樹さんもずっと『PAPERSKY』で20年以上連載をしてくれていて、『THE VOID』という彼の一番最初の写真集も、僕らで出版させてもらった。それとNo.28のニュージーランドの特集は、歩く特集で、直樹と一緒にニュージーランに行ったんだよね。彼のイメージは8,000 m以上の大きい山をいっぱい登っているイメージが強いと思うけど、本人的なチャレンジもあるし、学びもいっぱいあった旅だった。歩くことが人生の大事な声だなということが、このマオリの森の話で出てくるから。

村松:(当時の『PAPER SKY』を見ながら)若いな、直樹さん。2009年。

ルーカス:ああ、そうだね。

村松:だいぶ『PAPERSKY』も見た目が変わったね。

効率重視の時代だからこそ、非効率なやり方で
人間としてのバランスを取り戻す

ルーカス:『PAPERSKY』の次号が山口特集なんだけど、山口の、長門市、山口市、萩市という3つの町でそれぞれの町の中で歩く話と、町と町の間も歩く話。すべての旅が歩くで完成する旅。案内役は、20年ぐらい前から友達のクレイグ・モドさんという作家であり、写真家の方。ニューヨークタイムスとかで、日本の地域のことを書いたり、喫茶店の写真集『Kissa by Kissa: 日本の歩き方』も出版している。山口って日本人さえも行ったことない人がいっぱいるのに、いきなり外国人がドーンと山口に行ったりする。そこでも歩く話が結構出てくるから、歩くことのキーワードはわりと僕は考えてなかったけど、もしかして今、ちょっとホットなテーマになっているかもしれない(笑)。

村松:うん、どうして歩くのが流行っているのか僕もそこまで解読できてないけど。

ルーカス:でもいいことですね。

村松:うん。

ルーカス:なんか欲しいんだね、みんな。僕ら今話しているような要素とか。

村松:ルーカスにはさ、以前僕が『mark』っていう編集部にいた時から、何度か歩くことについて取材をさせてもらっていたり、直近はルーカスのプロジェクトにも呼んでもらって、一緒にお仕事もさせてもらったりしていますけど。ご一緒していて面白いなといつも思うのは、この紙面の中でも実際にゲストの人を2週間とか3週間とか拘束するじゃないですか。

ルーカス:そうだね(笑)。僕に誘拐されるよね。

村松:うん(笑)。でもなんだろう、すごいタイパとかさ、効率的なことが求められたり、みんながそれを重視する中で、人を2週間とか3週間拘束し続けて、旅し続けながら、その1週間、3週間分ごと1冊にしたりとかページにするって、すごい重要というか。今この時代において改めてその価値はすごく高いなって。

ルーカス:そうだね。 前編でAIと喧嘩した話をしてたけど(笑)。今はその場所に行かなくてもAIが文章も結構書いてくれる。そんな時代だから、じゃあそうじゃないものを、不効率でも本として作るなら、作らなければならないよね。

村松:それを意識してるんだ?

ルーカス:意識はしてないけど、僕はただそのやり方になっただけ。歩くことが最近キーワードになっているのと同じように、『PAPERSKY』がやっているような方法も、すごくリアリティーがあるというか。今回体験のことばかり話してるけど、AIはそれだけはできないから。

村松:うん。

ルーカス:体験がないと、アンバランスになっちゃうし、どっかみんな不安になったりとか、不満足になったりする。『PAPERSKY』も文化的なものとか、哲学的なものをのっけながらも、そこに本当の体験が入ってくる。僕も自分で家にいるんじゃなくて、その旅もずっと一緒についていく。コスト的とか時間的にはめっちゃ無駄なことをやってるけど。

村松:そうね(笑)。

ルーカス:(笑)。 だけど、最終的に言葉にならないけど、それを作っているプロセスも含めて、見えない力になるんだということ。それで自分は『TOKION』からずっとその作り方をやっているけど、時代的なのはもっと合理的に作ることだと思う。でもそこで多分、合理的にやりすぎて、どこかで人間が壊れ始めている。これからはどうやってその人間的なバランスを取り戻すか。体験の部分とか、歩く話とか、リアリティーと情報を合致していく必要があるんだなということだね。

村松:そうね、やっぱ呼ばれた人たちはさ、当然2週間3週間ルーカスと、寝食ともにどこかの町に行くじゃない? そうすると、きっと大変なこともあるだろうけど、みんな出てくれる人たちの満足度も高いでしょ。体験として印象に残るから。

ルーカス:そうだね。

村松:それが『PAPERSKY』の1つの特徴かな。そんなになかなか行けないじゃない。

ルーカス:そうだね。

村松:で、その2、3週間で感じたこと、その旅で出会ったことを見たことを詩にする人もいたり、山瀬まゆみさんのように絵にしたり、その都市の情報と一緒に載っかってくる紙面っていうのは、価値が高いなって、見てて思う。

ルーカス:そうだね。あとは一緒に行くみんなはこの本を一緒に作っているという意味でもある。それが僕の頼み方。

村松:そっかそっか。

ルーカス:そこは意識しているから、ただのゲストじゃなくて、この号はあなたも責任あるよ。この号が成功するかは(笑)。

村松:(笑)。

ルーカス:ま、そう直接は言ってないけど、課題はやっぱり渡している。向こうはその課題と一緒にこの本作りを楽しみにして、1つのものになっていく。その体験は本にとっても、見ている人にとってもプラスになってる。たしかに参加する人も、今言ったように何かないとなかなか1週間とかね、休めないよね。だから、旅をしてその土地に滞在して得ることが何かの気付きになる。しかもいいアウトプットをとしてまた新しい発見もできるから。まさに今この『TRAIL LEARNING』の本を作っているけど、ずっと『PAPERSKY』はそういうことをやってきているのかもしれない。

村松:そうね。 面白いね、2週間休んだこと、そのこと自体にも多分インパクトがあるから、出演者のみんなが『PAPERSKY』取材を覚えているっていうか。

ルーカス:うん、インパクトあるね。

村松:今後、『PAPERSKY』ないし、ルーカスとしてはどんなことをしていきたいって思ってるの?

ルーカス:僕、すごい歳取ってると自分も思ってるから(笑)。

村松:今いくつですか?

ルーカス:今度54になる、4月17日だからこれが出た時もう54歳かな。これまで『PAPERSKY』はこういう風にやってきたから、これから本を作る人とか雑誌を作る人とか、ここで学んだことや作り方とか含めて、こういうやり方もあるのかって、見てもらって、プランBみたいに参考にしてもらえたらいいよね(笑)。ちょっと違ったものが見えてくることが大事だと思うよね。 そのプランBを見ながら、みんなが平和に向かっていく世界になるといいなと思って。

村松:じゃあ『PAPERSKY』みたいなやり方も参考に、新しい編集のあり方とか、作り方が次につながっていったり、誰かがそれを見て、インスパイアされていくといいなって感じですか?

ルーカス:そうだね。

村松:『KATSUO TRAIL』自体もルーカスからすると、エディットの延長だよね。

ルーカス:うん、そうだね。 新しい本というか、新しい体験だね。『PAPERSKY』の読者もぜひ、この『KATSUO TRAIL』を歩いてもらって、今話したようなことを身をもって知って欲しい。それがすごくやりたいことだね。 だから、いろんな人に『KATSUO TRAIL』連れていきたいなと。村松さんも連れていきたいと思うし。

村松:歩かないと。

ルーカス:ヨセミテのジョン・ミューア・トレイルがあるじゃない?

村松:うん。

ルーカス:ジョン・ミューアは同じような考え方だったと思う。人間を引っ張り出して、自分で作ったトレイルをいろんな人に歩かせて。僕も彼と同じように、いろんな人を引っ張り出していくことが、この『PAPERSKY』が伝えたいメッセージのひとつ。そう、いま気づいた (笑)。村松さんのおかげで(笑)。

村松:いやいやいや(笑)。なんかね、noruは移動がテーマで、でもその中でもクルマをすごく分かりやすいテーマとしては打ち出してはいるし、クルマのメディアですよねって言われても、もちろん僕も否定はしないし、クルマのメディアでもあるけど、さらに引くとやっぱり移動みたいなことが大きいテーマ。

ルーカス:ね、移動がテーマ面白いね。

村松:なんか今回の、ルーカスの話とか実際に移動の速度によって人が受け取る、情報量とかフィジカル的なこともそうだし、マインドも移動の速度によって違うみたいなことをnoru journalの読者も今日の話を受けて少し気づいてくれたら、日々のクルマの運転であっても、電車であっても、飛行機であっても、暮らしの中で絶対移動するから、今日ちょっと移動の仕方を変えてみようとか、そういう気づきになればいいなと思っている。当然読者からするとクルマのメディアなのに、なんか今日トレイルの話だわって、歩きの話で違うじゃん、っていう人も、もしかしたらいるかもしれないけど、でもそういうこと。 移動の速度とか、移動の仕方によって、僕らのマインドが変わる、視点が変わるみたいなことの気づきをちょっと感じてくれたら、きっと日々の移動が少し変わるから。それでいいかな、みたいな感じもありますね。

ルーカス:ね。 移動の中、ルートの話もあるし、多分、あと旅の話もあるし。移動という行為自体も体の刺激にもなるから。ほんとクルマと歩きの統一感、まだ考えたことないけど、パパって思うとあるよね。

村松:うん。

ルーカス:あとこの窓のコンセプトもすごいいいなと思ってて。移動の窓で。『PAPERSKY』も結構窓のコンセプト、ずっとあって。多分気づいた人いないと思うけど、いつも枠をこう作っているね。こういう表紙の周りに。


引用:PAPERSKY STORE |PAPERSKY #66 AMAMI | Listen issue

村松:ああ、ほんとだ。

ルーカス:一応それはレンズとか窓とか、世界を見ていく。古いやつまだそれが入っていなかった。

村松:そうね。

ルーカス:このシーズンからずっと枠がついてくる。

村松:ちょっと言葉にならないことをお互い話した回なので。ちょっとリスナーによってはこのおじさんたち何話してるんだろう?って(笑)。

ルーカス:(笑)。

村松:って時間もあるかもしれませんけど。それがね、Podcastはある意味いいところ。

ルーカス:そうだね。

村松:だと思うんで。活字じゃこうはいかない感じ。これはこれで僕ら自身がインスパイアされながら話せたのはすごく良かったなという回でございました。ありがとうございました。

ルーカス:ありがとうございます。


 


『TRAIL LEARNING―未知を拓く冒険「歩く」』

発売日:2025年5月5日
定価:3,300円 (税込)
判型:B5 縦型変形
頁数:128頁
ISBN:978-4-9913001-3-4
発行元:みなとラボ出版
助成:日本財団
URL:3710lab.stores.jp/items/67f4d091eaec1c1fdba3e505

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村松亮(むらまつりょう)
noru journal編集長。東京-伊那谷-御代田の3拠点を移動しながら暮らす。会社・編集部は東京なので、週2~3回は出稼ぎに。2022年より、家族と米作りを始めました。
IG : @ryomuramatsu

ルーカス・B.B.
1971年アメリカ・ボルチモア出身。大学卒業翌日に初来日。1996年、アメリカで『Knee High Media』を創業。翌年1996年に〈ニーハイメディア・ジャパン〉を設立。以来、『TOKION』をはじめ、トラベルライフスタイル誌『PAPERSKY』や、パパ・ママ・キッズのための『mammoth』を制作・発行する他、自転車でめぐる日本再発見の旅プロジェクト『PAPERSKY Tour de Nippon』や、オリジナルのアパレル・雑貨ブランド『PAPERSKY WEAR』『PAPERSKY TOOLS』の開発なども行なっている。
IG:@lucas_khm

photo by Masaru Furuya