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富士北麓の自然と結びつく物語たち
2024.01.18

富士北麓の自然と結びつく物語たち
by noru journal 編集部

富士山麓で暮らす人たちには、穏やかながらどこか、みなぎる芯がある。雄大な自然を享受しながら生きるヒントを会得し、それぞれに発信している彼らが、歴史ある街で日々育んでいるものは何か。今回の旅の舞台は、富士吉田市、忍野村、山中湖村、富士河口湖町からなる富士北麓エリア。この地で暮らす4組に話を伺いました。

また取材を通して、編集部はこのエリアの一部を覗かせてもらいました。取材先で出会った人にも聞いた富士北麓のホットスポットを、4組の物語とともに紹介します。この地域に訪れた方が少しでもこの街を好きなってもらえたらと思い、食処を中心にまとめてみました。

» Editor's Note

noru journal編集部として訪れたのは初めてだった富士吉田市。しっかり街の温度を伝えたいけれど、日帰り取材ではなかなか難しいもの。今回はイベント開催に向けた貴重な連泊取材のその暇で、奥行きのある富士吉田市に触れました。私的な旅をする時にいつも心を寄せるのは、観光ともうひとつ、住むように旅をすること。図らずもそんな期待に溢れた数日をnoru編集部の小野が記します。

富士北麓で出会った人々


森の息吹に包まれる、富士山麓の暮らし方
田中麻喜子・別府大河 〈noi〉

 


http://ジビエを通じて、山梨の知られざるストーリーを発信する
青木輝 (〈アミューズ〉勤務/猟師)

 


富士北麓の自然がもたらす感覚を、テキスタイルにしてみたら 
渡邊竜康 (〈Watanabe Textile〉主宰、写真家、建築士)

 


富士山麓の森に遊び、生きる力を育む
佐藤厚明(ネイチャーガイド/〈ジュカの森〉アクティビティ責任者)

 
 

富士吉田市の名物、吉田うどん。編集部的3選。

機織りの街である富士吉田市では、女性が機を織り、男性が炊事を用意していたという歴史があります。男性が練った麺は太くコシがあり、見た目はやや荒さがあるのが特徴。ほかにも織機を訪れる行商や旅人にその場で急いで提供しなければならなかった、などといった諸説もあるが、ゆえに現在の吉田うどんの麺は太くてコシがあるその無骨さが売りに。時間が許す限り行きたかったお店もありつつ、富士吉田市ソウルフード3選となりました。

 

山梨県南都留郡富士河口湖

01.吉田のうどんくらよし

営業時間が11:00〜14:00と平日の昼食時に地元の人たちで賑わう駆け込みうどん屋さん。その日の手打ちうどんが食べられます。メニューは肉うどん、かけ、わかめに鍋焼きうどんとカレーも!(気になる)中太麺にさっぱりでもしっかりとした出汁に思わずうなっちゃいました。

住所
〒401-0310 山梨県南都留郡富士河口湖町勝山5080-9
URL
udon-kurayoshi.com

 

山梨県富士吉田市

02.桜井うどん

創業約50年のいわゆる老舗うどん屋さん。オープン時間が10:00と、いわゆるブランチ的時間でもお客さんが次々に入店。店舗に入った途端わかる哀愁漂う小上がりと座布団。壁一面にはサイン色紙の数々。富士吉田にもうどんのジャンルはさまざまなようですが、桜井うどんは王道感のあるシンプルイズベスト。ゆっくり起きた日の朝に一杯行きたくなる優しい出汁のうどん。Bindママのおすすめの茹でキャベツを一緒に頂きました。

住所
〒403-0004 山梨県富士吉田市下吉田5丁目1-33

 

山梨県南都留郡

03.たけ川うどん

ランチ時ということもあり、終始満席状態。入店とほぼ同時に注文を尋ねられるスタイルがおなじみの風景のよう。メニューは肉うどん、かけ、わかめ、月見などスタンダードもありつつカスタムも可能。備え付けの薬味はすりだね、山椒、七味、バケツに入った揚げと種類が豊富。この味変がとにかくクセになる!味噌の風味と相まって、ずっと食べていられそうな味。もう一度食べたい、、!

住所
〒401-0301 山梨県南都留郡富士河口湖町船津3371

 
 

珈琲とお酒。新世界期乾杯通りがある西裏地区

1,000年ほど続く機織り街の特徴は、昼の顔である東裏地区と、夜の顔である西裏地区に区分され、機織りの東裏で稼ぎ、西裏で落とすという象徴的な時代があったようです。長い歴史を経て、近年存続の危機にも立たされていたこともあったようですが、すこしずつ街の風景も変わってきているようです。

今回は取材の合間や後の時間でしたが、貴重な西裏地区の潜入(お酒)と、やっぱり外せない珈琲をいただくことができました。

 

山梨県富士吉田市

01.Fuuto Coffee

和菓子職人出身の店主が実家の豆腐屋だった場所を継いで始めたカフェ。珈琲はもちろんおすすめは店主一押しのどらやきと、運が良ければ出会える店主の母。世代を通して受け継がれた親子の姿に癒されにいってみてください。

住所
〒403-0004 山梨県富士吉田市下吉田3丁目12-3
IG
@fuuto_coffee.bakeshop

 

山梨県富士吉田市

02.Fab cafe Fuji

観光客が多く行き交う場所にある〈Fab Cafe Fuji〉。富士吉田市街のHubにもなっているような好立地にあります。少し早めの8:00オープンなので朝食を食べることもできます。(早めの時間がおすすめ)落ち着いた店内とテラス席もありゆっくり珈琲を楽しめました。渡邊竜康さんの〈Watanabe Textile〉のブランケットも購入できます。

住所
〒403-0004 山梨県富士吉田市下吉田3丁目5-16
URL
fabcafe.com
IG
@fabcafe.global

 

山梨県富士河口湖町

03.長崎珈琲

富士山登山口でもある河口浅間神社の門前にある長崎珈琲。店内は古材を使った家具や本棚に、店主の趣向がみえるやさしくもクラシックな雰囲気が漂っていました。ドリップが上品で味わい深く、美味しい珈琲が飲めます。ここで猟師の青木さんをインタビューをしているとnoiの別府さんが来店。さっき取材を終えてさよならしたばかりなのにまた会える、街の繋がりに驚き。別府さんと青木さんは存在は知りながらも初対面だったようで、良い時間が織りなされました。

住所
〒〒401-0304 山梨県南都留郡富士河口湖町河口1199 母屋横
IG
@nagasakicoffee

 

山梨県富士吉田市

04.Jazz House Now

どんな場所でも夜の街の耳寄り情報は外せません。名店Nowにはいると、奥まった店内のまえにあるレコードとカウンター。若い時間ながらもすでにお客さんが1人。ステンドグラスの灯りが落ちるカウンターそのものの気高い貫禄。旅をするとディープスポットに行きたくなるのはこんな店があるから。先代から受け継いだという女性マスターは「この店をなくさないでほしい」という常連さんたちからの懇願で先代から受け継いだそうです。我こそはという大人のみなさま、必見です。

住所
〒403-0004 山梨県富士吉田市下吉田3丁目12-55

 

山梨県富士吉田市

05.Bindo

夫婦で切り盛りする実家感のある落ち着く雰囲気。取材の振り返りをしていると、隣の席からお声をかけられたのはまさかのnoiの別府さんのご友人(Herb Stand : IG @herbstand)。またもや街特有の、繋がりを感じました。かれらも移住組み。ひとしきり富士吉田の話で盛り上がり、Bindoを後にしました。ここのおすすめはスタッフ満場一致で「からあげ」と、いつあっても優しいママです。

住所
〒403-0004 山梨県富士吉田市下吉田3丁目12-10

 

今回の取材の醍醐味は、その街に根付くお店や人の物語、そしてローカルがレコメンする美味しいものに出会えたこと。予想を遥かに上回る街の魅力と、偶然が偶然をよんだ展開に驚かさる場面がいくつもありました。富士北麓で自然のリズムと共存できることはもちろん、頭で理解するより先に人に出会い、そして受け入れてくれる街。まんまと虜になってしまった取材となりました。

Photo by Kenichi Muramatsu / Text by Mariko Ono