column

「移動と暮らし」の解像度を上げていくポッドキャスト番組『窓がうごく(仮)』by noru journalがスタート!#00
2024.12.27

「移動と暮らし」の解像度を上げていくポッドキャスト番組『窓がうごく(仮)』by noru journalがスタート!#00
by noru journal

noru journalが送る新コンテンツ、Podcast番組『窓がうごく(仮)』が始まります。旅すること、移動することが暮らしに根付いている人々をゲストに迎える音声番組を、ここではテキスト化してお送りします。

今回は記念すべきエピソードゼロ。立ち上げから5年間分のコンテンツを振り返りながら、現在進行形で始動しているプロジェクトのお話しなどを編集部の村松と久恒がお届けします。

「Podcast:窓がうごく」記事一覧

» 窓がうごく

立ち上げから5年、これまでのnoru、これからのnoru。

村松亮(以下 村松):今日はチャプター#00なので、noru journal立ち上げの頃を振り返りながら、今後どんな番組にしていくのかというのを話していけたらなと思います。

久恒杏菜(以下 久恒):よろしくお願いいたします。では、聞いていきたいのですけれども、noru journalが今年で立ち上げから5年目ということで、このタイミングでPodcastを始めようと思ったきっかけや理由を教えてください。

村松:コロナのタイミングでメディアは立ち上げているので、5年目。ではあるものの、あまりやりたいことをやってこられなかった5年でもあります。

パンデミックも終息してやりたかったリアルなユーザーとの交流だとか、もう少し編集部のみんなの顔が見える形でコミニケーションしていけたらというふうに常々思っていたので年が変わるタイミングで、ゆるく始めましょうと。

やっぱりどうしてもオンラインで一方的に記事読んでください、というよりはあの手この手で思いを届けていきたいという気持ちもあるので音声でも隔週更新くらいでやっていきましょうという感じですかね。

久恒:どんな人に聞いてもらいたいですか?

村松:noru journalを知ってる人は、5年やってきてなんですけど、ごく一部だと思うのですが、まずはそんな数少ないメディアを知っている人たちに聞いてもらえたらと思います。

ということで、5年目なので立ち上げから関わっている杏菜さん、逆に印象に残った記事とかトピックはありますか?

久恒:印象に残った記事に当てはまるかわからないんですけど、そもそも自分はクルマが好きでこのメディアに関わっているわけではないので、立ち上げた時に自分ごとでどれだけ編集楽しめるかというのが課題でした。『people』という『ヒトとクルマ』の連載をやっていて、愛車紹介みたいな連載なのですが、ずっと原稿を担当させてもらっていたんです。クルマのことに詳しくなくてもクルマを軸に話を聞いているとその人のストーリーだったり、生活だったりっていうのが垣間みれて、思っていたよりもクルマに詳しくなくても取材を楽しめたっていうのがまず一つ、自分としては収穫があったというのと。『移動とオフグリットライフ』という連載でエネルギー、次世代のエネルギーの話だったり、そういったことを取り上げていたら割と自分ごとにできたというところはあります。

関連記事|自然と都市が共存し、カルチャーが交差する町。湘南の「クルマとヒト」 by noru journal編集部


〈people|ヒトとクルマ〉

村松:そうね。移動とオフグリットライフは12記事を更新して、連載としては一旦お休みしているんですけど、これはずっと続けてもいいテーマでしたね。

久恒:そうですね。再開したいぐらいですね。

村松:『people』は確かに杏菜さんが言うように愛車紹介ではあるものの、なんでこのクルマを買いましたか?とか、どんなん所が好きですか?という話以上に、まずはその人の暮らしだとか、日々の生活を聞いて、どんなふうにクルマがあるか、どんなふうに乗っているか、みたいな。何を買ったかというよりは、どう乗っていますかってことを取材で聞いていっているので、わりと『移動と暮らし』をテーマにする僕らとしては、ど真ん中なトピックの連載ですね。

久恒:村松さんはどんな記事が印象的ですか?

村松:図らずもコロナのど真ん中でメディアは立ち上げて、取材自体は2019年からやってはいたけれど、いよいよ立ち上げますといった直前に緊急事態宣言になり、移動ができなくなって、取材も止まって。そのまま一旦、世の中が動き出すまで僕らも止まるっていう選択肢もあったけれど、関わってくれている外部の編集の方とかライターさんのアイディアもあって、移動ができないからこそ今考えられることだとか、そういったものをテーマに記事を作ってもよいのではという意見ももらって。その時に生まれたのが『wayfinding』という連載。

移動できない、だからこそみなさんどんなこと考えていますか?というテーマで色んな肩書、職業の方に話を聞いていったもの。あとは旅する写真家の皆さんに『写真家が移動できなくなった時』という連載タイトルで、移動できないからこそ、どう考えてますか、どんな作品撮ってますか、と尋ねていくもの。


〈photo by Taro Hirano #001

これもコロナが終わって終息するまで2、3年は続けてきたのかな。逆にいうとコロナ禍で生まれたコンテンツというのはメディアとしては今までの既存のメディアにないような視点で移動することや、逆に移動しないことをテーマに記事を作れたけど、終息した今、オリジナルのトピックでどういうことを考えていくのか、テーマにしていくのか、というのを自分たち発信で考えなくてはいけなくなった。それに対してちょっと答えもまだ出てないというのがここ1,2年の僕らの課題みたいなところではありますかね。

久恒:最初の1,2年3年ぐらいは本当取材に行くってことがなかったですよね。

村松:そうだね。結構意識的にリモート取材にしていたね。記事が止まらないようにしないといけないから、どうしてもオンラインベースの記事になっていましたね。

久恒:あの時はあの時でちゃんと記事を作っておいて良かったなと今は思いますね。

村松:どうしてもオンラインベースで考えたり、企画したりっていうことが立ち上げは多かったからこそ、その反動で今考えていることも、これからやっていきたいことも、オフラインでどう織り交ぜていくか。それをすごく考えているね。

久恒:オフラインで今後色々やっていきたいという話も出ましたが、一昨年の冬からリソグラフという試みをしているということで、そこの話をちょっと教えていただけますか。

村松:リソは〈NEUTRAL COLORS〉というインディペンデントな出版社があって、そこの代表で、元々雑誌のTRANSITの編集長でもあった加藤直徳さんがある時期からリゾグラフを始めているのをインスタで見ていて。リソグラフというもの自体は80年代に生まれた、日本の企業が作ったデジタル印刷機で、昭和から平成にかけて学校だとかオフィスに事務用のシルクスクリーンとしては馴染みがあったコピー機。ちょうど僕が小学校とか中学校の頃、職員室にあった2色の印刷機だね。その2色の印刷機を使って加藤さんが雑誌を作ったりしてるのを見て、そのアナログな感じや実際{NC}という彼らの出版社と同じ名前の雑誌があって。それを手に取ってみたときに、編集者の僕が考えていた領域をちょっと超えてる。いわゆるクラフトの域にあるような表現の広がりが見えて、自分もちょっと学んでみたいなと思ったのがきっかけです。ずっとなんかやりたいな、と思っていた時にちょうど加藤さんがインスタかHPかで月額でリソを学べるようなコースを始めたので連絡を取って、っていうのがきっかけかな。

久恒:加藤さん自身がリソを始められたのは、コロナとか関係あるんですかね?

村松:それはわからない(笑)。個人的な話でいうと、一昨年の冬にリソを始めようと思ったのだけれど、その前年から家族で米づくりを始めていて、毎年田植えを春にして、秋に収穫してちょうど11月頭だとかに全部収穫した後に、11月末とか12月頭に田おこしという最後に土を起こして1年の業務を終えるんだけど、その作業をしながら「リソ習おう」って決めたのをすごく覚えてるかな。

久恒:手仕事的な?

村松:うん。こういうフィジカルで何か作るとか、身を持って何かをつかめるわけで、もしかしたらこういう感覚を得られるのかなと思って、それで加藤さんにすぐ連絡したかな。

久恒:元々雑誌畑というのもあって、今まではwebでしたけど紙を出すということもちょっとやりたかったんですかね。

村松:そう。あと雑誌を作っていた時代も当然、自分のキャリアでいうと長くて、でもどこかでいつも入稿して校了すると一瞬自分の手から離れるようなものではあったんだけど、自分たちで編集して作ったものをプリントまでして、ゆくゆくは製本までする。これができるのは自分にとっては新しいことだった。{NC}っていう出版社は製本までを教えてくれるし、できるような設備があるので、そこまで自分たちで最後までやり切るっていうことも習った1つのポイントで、続けてきている理由ではあるのと、この編集部自体も杏菜さんは二宮(神奈川県)で、もう1人の石川ちゃんっていうスタッフは東京で、僕は長野に住んでいて。みんなある程度ベースが離れていながら平日決まった曜日に集まって話しながらメディアを作っている状況だったこともあって、フィジカルで会う機会を増やせるし、みんなで共同作業できるってことも今までにないコミュニケーションは生んでくれるだろうなっていう期待もあってかな。

久恒:確かに、私は今年育休から開けて、リソを一緒に作業させてもらっているんですけど、めちゃくちゃフィジカルだよって言われていて。実際行ってみたらその言葉の理由がわかったというか、リソに行くたびに筋肉痛になるんですよね(笑)。フィジカルというのはこういうことかという。印刷だったり製本だったりでこんなに体を使うのかっていうのを身をもって知りました。

村松:そうね。やっぱりある意味デジタルコピー機ではあるけど、すごいアナログ性があるのがリソのすごい魅力だなと思っていて。本来は均一で全て同じに揃っていたりするような、商品ひとつひとつの正確性だとか均一性みたいなものが当然これまでの時代は求められてはきたけれど、リソ自体は、例えば100枚印刷するとしたら50枚くらいからよれてきたり、ずれてきたり。すごく不均一な要素っていうのが必ずあって、ただインクのスレだとか、ズレだとか、ある種不良品とされるような表現自体が含まれている、エラーみたいなところが面白いと思うかな。

久恒:ですね。1番最初に作り始めたのが確か媒体資料、その後に作ったのが『wayfinding#001』。証言集?

村松:そう。まずは媒体資料作って、それは配ったり、今もストアでワンコインで売っているけど、コロナ禍でメディアを作り始めた時に印象に残っている連載ではあったから、『wayfinding』っていう、日本語で言うと『道標』と訳される単語ではあるけど、その連載を紙にまとめたね。


『noru journal』Visual Media sheet ¥550


証言集『僕らの時代のWayfinding』#01 ¥1,650

久恒:元々この連載をやっている中で書籍にしたいというのはありましたか?

村松:あったんだっけかな〜…。でもどこかで紙はやれたらいいなという思いはあったかな。でもまさか自分たちで印刷したり、製本するみたいなことは思っていなかった。

久恒:実際リソを初めて、書籍も作ってみて、今までの〈noru journal〉、webのオンラインメディアのコンテンツに対する考え方だったり、今後こうしていきたいみたいなのは変わりましたか?

村松:そうだね。質問の答えにはなってないかもしれないが、もちろん、ゆくゆく紙にしたらいいなという連載は今もあるし、そうやって自分たちの手でパッケージして、それを売るっていうことは少なからずできるから、連載を考える時にその先も見据えて企画するようにはなったかな。とはいえね。めちゃくちゃ手間のかかるし、時間もかかるものを始める割には自分がリソに向かえない体制だったり、時間を作れないっていうことも多くて。社員のみんなとより良いコミュニケーションをするために始めたにも関わらず、お願いします、みたいな。今日はいけません、みたいなことも多いから、いい面、悪い面あるなーっていう個人的な反省はあるかな。

久恒:それは『noru books』の書籍でいうところの第二弾、『people』の製本の話に通ずるんですよね。

村松:そうですね。次、これが年始には発売できるかっていうところではあるけど、『people』、『ヒトとクルマ』をテーマに200人くらい撮り溜めてきたものを書籍化しよう、ということでもう印刷は終わり、一部製本が残ってる。これもね、また、加藤さんのアイディアでとても時間のかかる製本の仕方で作ってるんで、予想を遥かに超える時間をかけて制作してますね。

久恒:どんなパッケージですか?

村松:200人弱の中からランダムに30人選ばせてもらって。もちろん車種が被らないとか、地域が被らないっていうのはあるんだけど、そこにインフルエンス力のある30人を選びましたってことでも全くなくて。どちらかというと普段僕らが日常ですれ違っているようなよく街で出合うクルマに乗ってる人たちを不規則にピックアップさせてもらいました。1人1冊、小冊子にして、それを30冊1セットで1パッケージにして売る、という本にはなります。実はね、今まだ製本の最終プランをまさにこれから製本所と詰めるところです。ここは僕らも初めて一部外注して、本にするっていう。そういう意味ではちょっと新しい挑戦
というと大袈裟だけど、新しい座組で完パケる、という感じですかね。

すごく手間のかかる製本作業を経て出来上がるものですね。今まさにこの収録をモニタリングしているデザイナーの石川ちゃんが1番時間を使ってくれた1冊なんで。力作ですね。

久恒:じゃあこれが2024年中に完成して、2025年お披露目となる予定。

村松:そうだね。冒頭杏菜さんも言っていたかもしれないけど、この『people』ってやっぱり〈noru journal〉にとっては割と代表する連載ではあって。クルマ紹介のようでいて、クルマをフィルターにその人の暮らしだとか、生活を、垣間見るというような建て付けになってはいるんで、読んでもらえると僕らがやりたいようなムードだったりが伝わるかなとは思います。

久恒:じゃあ、せっかく作ったからには今はストアでリソで作ったものは売っていますけど、オフラインでどんどん出していきたいって感じなんですか?

村松:イベントに出たり、『people』はそもそも普段の連載で、割と東京以外の地域でも取材はしていて。僕が住んでる長野県は多く出てたり、神奈川の湘南エリアとか、静岡とか。こないだは函館も行ってみたり。全て自分たちで行けているわけではないけど、その地域ごとの人とクルマを切り取ってはきてはいるので、取材も兼ねつつ、販売も兼ねつつ。来年は編集部で地方に実際足を運べたらいいなと思っているかな。

久恒:行けたらいいですね。

村松:行きたいですね。

久恒:では、やっと始まった〈noru journal〉のポッドキャストなんですけれども、これからどんな番組にしていきたい、なっていきたい、というのを教えてください。

村松:次回以降はゲストを招いて色々話を聞いていきたいと思っていて、移動と暮らしといったとて、それってなんですかって言われることも多いし、僕ら自身もそのテーマをもっと深掘りしていきたいと思うので、2拠点だとか他拠点だとか、移動することが日常にある人だったり、旅することが日常にある人たちだったりっていう方を招いて、移動をすることでどうなのか、みたいなことを根掘り、葉掘り、いろんな人に聞けていけたらなとは思っています。

久恒:ちなみにこれ、最後に聞くことじゃないのかもしれないですけど、今かっこ仮になっている、番組名の『窓がうごく』は何からきているのかご説明いただけますか?(笑)

村松:(笑)。タイトルって難しいよね。普段移動しているとさ、いろんな窓から朝なり、夜なり、世の中見るので、窓がうごくかなと思った(笑)。クルマもさ、車窓が好きなのよ。それもさ、窓がうごくじゃない?

これ全然使われることを想定してなく本当に適当に話してますけど、窓が動くかな〜って思った。から、まあ一旦仮に置いていて。でもさ、〈noru journal〉って考える時も、クルマだとか移動のメディアを見渡した時に、特にクルマのメディアは、何をみんなが買ったらいいかっていうことを前提に作られているじゃない?

久恒:そうですね。

村松:だから買う、ではなくて、乗る(noru)なんだ、みたいなコミュニケーションだとか、テーマでやりたいなと思って。一旦noruって付けたわけですよ。それはどちらかというと、開発コードみたいなもので。そこからみんなが共感するような、よく考えましたね〜みたいなタイトルを捻り出そうと思っていたわけですが…。2016年ぐらいにまず『noru』っていうキーワード的なものができて、毎年、今年やります、今年やりますといい、口だけでなかなかやらず、2019年にようやく動き出して当時のADとかともやり取りしながら、来週には持ってきます。その翌週には持ってきます。…全然思い浮かばなくて(笑)

久恒:(笑)

村松:もう、これは〈noru journal〉でいいのではっていう感じでタイトルが決まったから、このポッドキャストも、窓は動くんだよなっていうところからかっこ仮で初めてみてもいいのでは、ということでございます。

久恒:はい。了解しました。

村松:(笑)

久恒:じゃあ、いいタイトルが見つかれば、変えたりなどするかも、しれない…。

村松:変えればいいもんね。変わんないかも。

久恒:かもしれない…。

村松:『窓がうごく』っていうのはすごい意味を帯びてくるかもしれない。なんか深い意味を誰かが言ってくれるかもしれない。

久恒:確かに。

村松:ゲストがね。

久恒:後付けいただけるかもしれない。伸び代のあるタイトルということで。

村松:そうだね。そんなエピソード#00ですね。いいじゃんエピソード#00感あって。タイトルも決まってない。

久恒:このままエピソード#00感がずっと続いていく可能性もなきにしも…(笑)。

村松:ということでね。次回以降はゲストの方と色々お話ししていきますけども。このなんてことないエピソードが面白かったという方は番組概要蘭からフォローアンド評価をお願いいたします。

久恒:よろしくお願いいたしまーす。

村松:ということで、隔週更新を目指して始めていきますので。

久恒:頑張りましょう

村松:頑張りましょ〜(笑)

村松亮(むらまつりょう)
noru journal編集長。東京-伊那谷-御代田の3拠点を移動しながら暮らす。会社・編集部は東京なので、週2~3回は出稼ぎに。2022年より、家族と米作りを始めました。
IG : @ryomuramatsu


久恒杏菜 (ひさつねあんな)
noru journal編集・ライター。神奈川県・西湘エリアに暮らすリモート編集部員。田舎町に移り住んだことをきっかけに、ペーパードライバーを脱する。近頃は、秦野方面への近場ドライブが多めな一児の母。
IG:@anna_hisatsune